千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
よく話してくれるようになった。
少し前にあんなことをしたというのに、彼女は許してくれてしまった。
部屋に入って、俺のためにお茶を淹れようとしてくれる。
風通しのために開いた窓からは酷暑にしては気持ちのいい涼風と、リンリンと鳴る風鈴。
「一咲に見せたいものがあって」
「見せたいもの…?」
「…これが俺だ」
軍服を着た、今と変わらない姿。
今の時代だと写真には色まで付くことを知った。
「……ハル、様」
「…うん」
「はる、さま」
「…そう」
期待をしていなかったわけじゃない。
この写真を見せたとき、ここに写った俺を見たとき、なにか特別なものを感じてくれるのではないかと。
きみにとっては前世の記憶を。
「隣にいる男は伊作といって、俺の友人なんだ。おなじ海軍兵学校で出会って…すごく、賑やかで明るい奴だった」