千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
『俺にとって今年がどれだけ大切なことか…!頼みます先生っ、入院だけはぜったい勘弁してください…!!』
『その姿で戻ったところで、追い出されるだけだと思うがね』
『……なあ時榛…、俺……退学かな?』
できれば一緒に卒業したかった。
親が名のある海軍兵の俺と仲良くしてくれたのは伊作だけだった。
海軍兵学校は16歳から入学することができ、そこから4年に渡る修業期間。
『伊作は成績もいいから退学にはならないと思うが…、留年…とか』
まさかの事態に、伊作は俺の言葉を聞いて額を押さえた。
しかしここで諦める心など持っていないのが兵士の志というものだ。
『いや、実技は厳しいが座学でなんとか追いついてやる。時榛、いっしょに卒業しような』
『…ああ。俺もまた見舞いに来るよ』
俺は変わらず勉学を。
伊作は治療に専念することを約束した。