千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
こんなにも柔らかい肌をしていたのかと、下手したら壊してしまうんじゃないかと。
きみはいまだ花を開かせない、一輪の蕾なのだから。
“また、来てくださいますか…?”
そんなつぼみが別れ際、初めて俺のそでを掴んできた。
今まで俺が言ったことにうなずき、俺が聞いたことに答え、自分からは滅多に気持ちを言わない子だったというのに。
つぎ会うときは、その大型軍事演習が終わったあとだ。
俺は彼女の身長に合わせるように屈み込んで、目をしっかりと合わせた。
『約束する、必ず。だから待っていて欲しい』
そうだ。
俺の後悔は、ただひとつ。
(きみを1度でも……抱きしめておくんだった)
もしかするとそんな後悔が、俺を再びきみに廻り合わせてくれたのかもしれないな。