千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
好きでもない女とキスができるような不誠実な人には見えないし、あのまっすぐさを疑えるはずもない。
彼自身も好きな子に触れたいと、いつかに言っていた。
「あれじゃない?一咲さんの立場を狙って近づいてる、とか?」
「やめてよー。ハルさんはあんたみたいにズル賢くないわよ!」
「それはあんたでしょ!」
憶測ばかりが広がっていく。
これは私が怖じ気づいて本人に確認できないからだ。
あれから顔を合わせることも困難になって、彼を見つけるとどこか避けてしまう。
そんなこと本当はしたくないのに……。
でも、思い出してしまうから。
そして思い出すと、もう1度と、求めてしまいそうになるから。
「まだ赤ちゃんじゃないの…、可哀想に。親とはぐれちゃったのかしら」
「外の水汲み場の前で泣いていたんです」
そんなときだった。
外の作業からロビーに戻ってきたハル様の腕に抱えられている、たったひとつの小さな命。