千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
わかってしまう。
だって、私も同じだから。
「君たち?いったい何事だ」
「あっ、支配人…!」
彼は詰め寄って、私を隠してしまう。
やってきた新たな男に見つからないよう、私を極限にまで隠す。
「や、だめ…です」
「…どうして」
息がふわりと、かかる。
甘すぎる声に、脳も身体も痺れをきたす。
向こう側からこちらはどう見えているんだろう。
私の壁になってしまったハル様は、こんな物陰で。
そこに何を隠しているんだと、コソコソ何をやっているんだと。
「猫…?拾ってしまってどうするつもりだ。ここで世話をするのか?」
「まだ明確には決まっていないのですが…」
「猫アレルギーを持っているお客様もいるかもしれないんだ。そこまで考えているのか?」
あれが工藤 音也。
私に対する歪んだ執着さえなくしてしまえば、時期当主として申し分ない気配りと着眼点を持っているひと。