千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
考えないようにはしているが、気を抜けば悶々と脳内に広がる。
甘い声、甘い身体、どこかしこも俺が知っている果実以上に甘かった。
「ハルさん。これ、お客様からいただいた羊羮(ようかん)なの。よかったら食べて?」
「…………可愛すぎた」
「えっ」
「……え?」
「やだ、もう、わたし既婚者よ…?息子もいるし、やだあ~!」
なぜか隣で年配の仲居が羊羮が入った箱を持ちながら頬を染めている。
もしや声に出ていた……?
「可愛すぎるって、そんな、急に言われちゃってどうしよう!確かに今はこうでも昔はね?グラマスな体型してるって褒められたりもしたけれどね?うふふ、やだ、カラダが火照ってきちゃった…」
「……………」
俺は羊羮だけをサッといただいて、スタスタと持ち場に戻った。