千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
なにを…している、
なにをしているんだよ…、───父さん。
「ん…?なにか音がしなかったか」
「いえ…、そのようなものは…」
「…そうか。続けるぞ」
「はい」
俺はあなたを心から尊敬していた。
俺にとって父さん、あなたは誇りだった。
『時榛(ときはる)。今回の軍事演習が終われば、お前もようやく立派に一人立ちだな』
海軍中将であり、戦略戦術研究を務める父を持ったことで海軍兵学校では卑しまれ。
ぞんざいに扱われたこともあったが、あなたに近づくためならと。
これはあなたの隣にいつか自分も立つための辛抱なのだと、己を鍛えてきた。
「はっ、はあ……っ、クソ…、あんなもの……、人体実験じゃないか…」
なんとか倉庫を逃げ出し、壁をつたって足を進める。
────……騙されたのか、俺は。
実の父親に、騙されたのか。