千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
失礼します、お邪魔します───、
大きめの声で丁寧にお辞儀をしてから、立て付けのあまりよくない門というよりは柵をギギギとずらした同行者。
どうにもかなり錆びれている年季の入った重い柵のようで、ギリギリ1人が通れる隙間しか開かなく、それ以上は物理的にも動かないみたいだった。
………が。
「あ。」
────ガゴンッ。
開ける、ではなく、壊す。
取り外されてしまった柵が、さみしくも青年の手に持たれていた。
「…うそ…、こ、こわし……」
「て、ない。開けただけ、俺は開けただけだ」
「そ、そうです…よね、そうです開けただけ…」
うんうん。
だって軽く押しただけに見えたし、そこまで力は加えていなかった。
わざとじゃない、
壊そうとしてやったわけじゃない。
これは私たちじゃなくとも、きっと数時間後には風の影響で同じ結末が待ち受けていたはずなの。