千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。




「私は華月苑を取り締まる人間の娘でもあります。なので私に…お任せください」



私だって使おう、与えられた身分を。


たとえそれが偽りのものだとしても、彼の居場所を作るためなら。

むしろこのときのために与えられたんだと思おう。


ぎゅっと胸の前で握った手。


そんなものを見つめて、ふっと、柔らかく届けられた音。



「きみは…、…生まれ変わりは、あると思うか」


「え…?」


「変なことを聞いているとは重々わかっているが、俺も信じられないことばかりを体験しているから……、こんなことが言えたのかもしれないな」



生まれ変わり……。

死んで、また違う生命として生まれ落ちること。

たしかに違う生命でも、それは確実に同じ存在。


人間から人間へと生まれ変わったなら、それこそ何か深い意味やメッセージがあるんじゃないかって。


よく分からないけれど、そうであってと信じたい。



< 85 / 262 >

この作品をシェア

pagetop