千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「…もしそんなものがあったら…、素敵だなって、思います」
しっかりと目を合わせて答えた。
前世で叶えられなかったことを、生まれ変わった世で叶える。
そういった物語は私も嫌いじゃない。
読んだあと、すごく幸せで温かい気持ちになるから。
「…俺もそう思うよ」
胸の前で握っていた手が、そっと拾われる。
私よりもずっとずっと大きい男性の手。
何度、私は目を隠した婚約者の人に握られたか分からない。
でも、今みたいに。
ここまで幸せで、ずっと求めていたんじゃないかと錯覚させてくる温かさは初めてだった。
「俺の本当の名は…、時榛という」
「とき…はる、さま」
「年齢は…わからない。ただ、21歳までは生きていた」
思い出したのか。
まずは名前から、思い出したのだろうか。
別に思い出さなくてもいいのではないですか。
このまま、今のあなたのまま、ここに居てくれたらそれで。