千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「帰ろうか。今日は付き合ってくれてありがとう」
「…いえ。…あっ」
「どうした?」
バッグの中身を探って、やっぱりと焦る。
時間を確認しようと取り出そうとした長方形が見当たらない。
「えっと、これくらいの四角い電子機器の、電話ができる機械なのですが…見当たらなくて」
「…すごいな。電話が持ち運べるだなんて」
「もしかしてツクモさんのところに置いてきちゃったのかな…」
スマートフォンがないのはかなり困る。
仕事で使うときもあるし、今も旅館から何か連絡が入っているかもしれない。
今日は透子さんの了承も取れているとはいえ、こちらも報告だけはしないと向こう側を困らせてしまう。
「俺が取りに戻るよ。ここは人も見えて安心だ、すこし待っていられるか?」
「え、でもそれはさすがに…」
「ただ、……絵を描いてくれないかな」
その機械がどんなものかハッキリと想像できないから、と。
バッグからメモとペンを取り出して、私はさっそく彼がイメージしやすいタッチで描いてみた。