千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
逃げられない運命
「今日からこの華月苑の仲間入りとなった…ハル君だ。彼は前会長とも親睦が深い九十九(つくも)さんの知り合いでね、裏方として働いてくれることになった」
「よろしくお願いします」
「彼はとても……力仕事が得意なんだ。そうだろう、ハル君」
「はい。雑用などがありましたら、ぜひお任せください」
ある日の朝礼にて。
普段は滅多に顔を出すことはない代表取締役が、スタッフルームに現れた。
緊張ぎみに揃った従業員の前、淡々と恥じらいもなく挨拶をする見慣れた新人さん。
こうなった経緯としてはツクモさんの手紙の影響が8割、残りの2割は私が義父でもある彼に微力ながらも直接お願いしたのだった。
ただ、実際はそんなことしなくともこうなっていた───、
確信づけた出来事は、今から数日前のこと。