千歳の時を越えたハル様へ、今日もあなたを愛しています。
「ハル様はもしかすると…、プロレスラーさん、とか」
「…よく分からないが…単純に普通より力があるだけ、かな」
────という出来事があった末の、今朝の朝礼である。
「そういうわけで、とても頼りになる人材だと思う。これまで以上に皆で協力しあい、張り切って取り組もう。音也君のほうにも了承済みだ。では、持ち場に解散」
「「「はい!!」」」
彼に与えられた役職としては番頭という名の、主に裏方スタッフのこと。
大きな物を運んだり客室の手伝いに回ったり、施設内の点検。
多岐に渡っていろんな場面でサポートに回ってくれるだろうと、あの驚異的な腕力を間近で見てしまった義父の采配だった。
さすがに車を運べてしまう人なのだから、華月苑の縁の下の力持ちには抜擢だろう。
縁の下というか……あれはガッツリ表に出てしまっていたけれど。