相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
「━━━━意外だな!」

近くのレストラン。
頬杖をついて、愛田が言う。

「何が?」

「ランチ!
誘いに乗ってくれるって思わなかったから」

「あ、あー
ちょっと、聞きたいことがあって」

「ん?なぁに?」

「なんで、執事喫茶なんて作ったの?
なんで、カナを従業員にしたの?」

「………」

「………」

「……………は?今更、何言ってんの?お前」

「………」

「執事喫茶にしたのは、久嗣(ひさつぐ)と“お前”のため。
奏弟を雇ったのは、あいつ自身が望んだから」
真っ直ぐ、真剣な眼差しで言う愛田。

久嗣は、嶺音の中学生の時の恋人で初彼。
そして愛田の親友。

そして中学三年生の秋、病気で亡くなった。

「そう…だった……ごめん、つい……」

「まぁ、儲ける自信があったってのもあったが……
奏弟は俺に恩があるからってんで、働いてくれてる。
つか!知ってんだろ?」

「はい…知っておりますです…」

「久嗣、言ってたもんなぁー
嶺音の執事になりたいって(笑)
そうすれば、フラれることがあってもずっと傍にいられるからって!
久嗣と嶺音、ほんと姫と執事みたいだったし(笑)」

「うん(笑)」

「あいつ、かなりのコンプレックスだったみたいだもんな。
嶺音と容姿がつりあわないって」

「そんなの、全く気にならなかったのに……」

「そうだな…」

「でも、頭が良くて、気遣いがよくできて、器用だった」

「だから“執事”だったんだろうな、きっと」

嶺音と愛田は、懐かしむように話すのだった。



「━━━━━そうゆうことか!」
愛田に“なぜ、突然そんなことを言い出したのか”と聞かれ、杉野のことを話した嶺音。

「わかってるの。
カナは仕事で接してるわけだし、杉野さんもお客さんなわけだし。
でもやっぱり………」

「だったら………
“辞めて”って言えば?」

「え?」

「俺は構わないよ?
代わりを探せばいいだけだし」

「“私からは”言わない」

「なんで?」

「それを決めるのは“カナ”だから。
それに………」

「ん?」

「それを言い出したら、きっと……
歯止めが利かなくなる」

「歯止め?」

「カナを、束縛してしまいそう。
ただでさえ、私達って束縛し合ってるみたいなもんだし」

「あー(笑)そうだな!」

嶺音の言葉に、クスクス笑う愛田だった。
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