相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
「━━━━本当ごめんね」

嶺音はマカナに連絡し、先程のことを謝罪していた。

『いえ!私こそ、すみません』

「ううん!
サキコちゃんとミユリちゃんにも、よろしく言っておいてくれる?」

『はい!わかりました!
じゃあ、また女子会しましょうね!』


通話を切り、奏弟に電話をかけようとする。
でも、怖くてかける勇気がない。

でも…………

“カナに嫌われたらどうしよう…”

このままでは耐えられない。

嶺音は、奏弟を追いかけようとスマホを握りしめて外に出た。

「煙草を買いに行ったってことは、向こうのコンビニだよね」
奏弟が行ったであろう方向に向かう。

足早に駆けていく。

すると、転がっていた石に躓き……

「………っあ!!」
バサッと派手に転んだ。

「いったーい…!!」
右足の膝と脛を擦りむいていた。

「………」
あまりにも、惨めだ。

「やっぱ、帰ろ……」
嶺音はゆっくり立ち上がり、擦りむいた右足を庇うように歩き、自宅マンションに戻った。

「いたたたた……」
なんとか帰り着いて、手当てをしていると“ガシャン”とドアが開く音がして奏弟が帰ってきた。

「…………ネオちゃん…」
背後で奏弟の窺うような声がする。

しかし嶺音は、自分が惨めで振り向けない。
目が潤んで、涙が溢れそうで項垂れるように下を向き手当てをする。

「ネオちゃん?」
ゆっくり、奏弟がこちらへ来た。

「は?ネオちゃん!!?どうした!?」

「………」

「は?なんで!?
家にいてなんで怪我してんの!!?」

「………」

“カナを追いかけようとした”とはなぜか言えず、嶺音はただ黙って手当てをする。

「外、出たの?」

「………」

「貸して!俺が手当てするから!」

「………いい…」

「は?なんで!?」

「大丈夫だから…」

「大丈夫じゃねぇじゃん!!
貸せよ!!」
奏弟は、心配が怒りとなって、つい声を張り上げてしまう。

「……っ…」
嶺音はビクッと震えて、瞳を揺らした。

奏弟が嶺音からピンセットを取る。
優しく消毒して、カットバンを貼る。

「カナ…ごめ━━━━━━」
「なんで、外に出るんだよ。
どうせ、慌てて出たんだろ?
ネオちゃん、ドジなんだからやめとけよ」

謝ろうとする嶺音の言葉に被さるように言った奏弟の言葉に、嶺音は言葉を飲み込んだ。


「離して……」

「あ?」

「離して!!!」

嶺音は、奏弟を睨み付けていた。
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