相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
しかし1分程で戻ってくる、嶺音。
もちろん、パジャマ姿のままだ。

「ん?ネオちゃん?どうしたの?」

「カナ、忘れてた!」

「ん?」

「おはようのギューしてない」
そう言って、両手を広げる。

「………え?」
思わず、固まる奏弟。

「だって、暗黙のルールがあるでしょ?
ギューとか、チューとか、好き好きーとか」
真顔で言い放つ。

「………
プッ…ハハハーッ!」
また笑われる嶺音。

「え?どうして笑うの?
してくれないの?」

「だってー、そんな真顔で言うこと?(笑)
それ言ってくれるんなら、もっと可愛く甘えてよ?」

「………もう、いいよ。
急がなきゃだし」
大爆笑する奏弟。
嶺音は恥ずかしくなり、ふてくされたように踵を返した。

「あー、ネオちゃん!行かないでよ!
ギューしよ?」
慌てて引き寄せ、抱き締めた。
嶺音も、奏弟の背中に手を回す。

「ネオちゃん、大好き!」
「うん/////」

「ネオちゃんは?
俺のこと好き?」
「うん/////」

「“うん”じゃなくて!ちゃんと言って!」

「好きだよ!大好き!」


しばらく抱き合って、嶺音は仕事に行く準備をする。
玄関先で別れる。

「じゃあ、行ってきます!」
「うん、行ってらっしゃい!」

「カナ、19時までだよね?」
「うん」

「ん。わかった!
帰り、気を付けるんだよ?」
「わかってるよ?」

「変なおじさん、おばさんについていかないこと!
カナはカッコいいから、逆ナンとかもあり得るからね!
気をつけて!」
「うん」

「あとは……」
「もう大丈夫だから!」

「そうだよね(笑)
カナも、社会人だもんね!」
「そうだよ!」

漸く嶺音が小さく手を振り、出ていった。

「………ったく…ほんと、心配性だよなぁ(笑)
まぁ、そんなとこも可愛いんだけど!」

すると、またバン!!と玄関のドアが開いた。
「は?ネオちゃん?どうしたの?忘れ物?
スマホ?財布?」

「ううん!
カナ、キスするの忘れてた!」

「…………はい?」

「ん!チュッてしよ?」
そう言って、キス待ちをする嶺音。

奏弟は“やっぱ子どもだ!”とフフ…と笑って、嶺音の口唇にキスを落とした。

今度こそ、出ていった嶺音。

奏弟は、こんな嶺音のことを愛してやまない。
奏弟を子ども扱いし、心配性。
でも一生懸命で真面目で、ピュア。

「ほんっと、可愛すぎ!!」

幸せな気持ちで、仕事の準備に取りかかるのだった。
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