相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
「フフ…凄いな、中岡さん。
私が慰めるつもりだったのに、慰められちゃった(笑)」

「あ!いや、す、すみません!
生意気なこと……」

「ううん!
でも、旦那さんが9歳年下ってことは……」

「今年、23歳です」

「若いね~!」

「フフ…ですよね(笑)」


そして帰ろうということになり、二人は外に出た。
「駅まで一緒に行こ?」
「はい」

ゆっくり駅まで歩く。
駅に着くと、杉野がある人達を見てフリーズした。

「え……」
「ん?杉野さん?」

「ヨウジ……」
スーツ姿の男性三人組。
その中の一人を、ジッと見ていた。

(もしかして、旦那さんとか?)
嶺音は、なんとなく察する。

杉野がジッと見つめていると、向こうも気づく。
「━━━━━え……ヒロ…ミ?」

杉野とヨウジの間だけ、時が止まったように動かない。
「杉野さん!」
それを、嶺音の声が引き戻した。

「あっ…」
「杉野さん、あの人……」

「あ、あー旦那…」

「そうなんですね。
━━━━━こんばんは!私、杉野さんの同僚の岩谷です!」

「え?あ、こ、こんばんは!」
微笑む嶺音に、ヨウジは慌てて頭を下げた。

「ヨウジ、今からご飯?」
「あ、いや、ご飯食べて飲み直そうって言ってたとこ」
「そっか」

「………」
「………」

「あ、奥さん達も一緒どうすか?」
そこに、ヨウジの友人が声をかけてきた。

「な?ヨウジ!」
もう一人の友人も、ヨウジに言う。

「あ、あぁ…ヒロミがいいなら…」
杉野の顔を窺うように見る。

「私も、別に……
中岡さん、いい?」

「え?あ……」
(ど、どうしよう。
飲み直すってことは、いわゆる飲み会だよね……)

昨晩まさに“飲み会”のことで喧嘩をした。
奏弟は、あんなに嫌がっていた。

てことは、きっとこれも行くことがわかれば、確実に怒るだろう。

「…………中岡さん、お願い……」
杉野が耳打ちしてくる。

嶺音は、杉野のことを蔑ろに出来なかった。

「わかりました。
でも……一時間くらいなら」
「わかった!」

杉野とゆっくり話していたため、もうすぐ21時になる。
奏弟の仕事が終わる22時までに帰れば、問題ないだろう。
そんな思いで、頷いたのだった。
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