相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
次の日。
嶺音は、久賀の働くカフェに向かった。

「カナは、口出さないでね。
ここにいて」

奏弟も心配でついてきて、嶺音の言葉に小さく頷いた。

「━━━━━あの、久賀さんいますか?」
カフェに入り、出迎えた店員に言う。

「あ、はい」

そして久賀が出てきて、バツが悪そうに視線を逸らす。
「久賀さん、五分だけいい?」

「………」

無言で頷いた久賀を連れ、外に出た。
奏弟も少し距離を置いて見守る。

「久賀さん、昨日はごめんなさい!」

「………」

「ただ、一つだけ聞いてほしいの」

「………」

「チーズケーキは、亡くなったお父さんとの思い出なの」

「え………」

「お父さんってね、普通にご飯は作れないのに、スイーツだけは上手で(笑)
特にチーズケーキは完璧だったの!
今まで食べたチーズケーキの中で、一番美味しかった!
昨日久賀さんがチーズケーキ捨てるの見て、お父さんを傷つけられた感じがして………
だからつい…ムキになっちゃったの……
ごめんなさい」

「そう…」

「それだけ、言っておきたくて……
━━━━━えーと…じゃ、じゃあ!
時間取ってくれて、ありがとう!」
小さく頭を下げ、パタパタと奏弟の方に向かった。

「カナ!」
「ん!」
微笑み合い手を繋ぐ、奏弟と嶺音。

その背中に、久賀が呼びかける。
「私も!」

「え?」

「わ、悪かったわ…ごめん、なさい…」

「ううん!
もう、これでおしまい!」
嶺音は微笑み、奏弟と去っていった。


「━━━━カナ、ありがとう!」
「ん?
俺は何もしてないよ?」

「でも、傍にいてくれたでしょ?
だから、ありがとう!」
「フフ…うん!じゃあ、どういたしまして!」

「私、仕事戻るね!」
「ん。
あ、チーズケーキ!
買って待ってるね!」

「ほ、ほんと!!?」
嶺音の目の色が変わり、キラキラ輝いている。

「うん!」
奏弟も微笑み、嶺音の頭を撫でた。

「カナ、ありがとう!
ほんと、素敵な旦那さんだ!」

「フフ…ネオちゃんにだけはね!」

「フフ…もう!またまたぁー(笑)
カナは素敵な男性だよ!
私にだけだなんて、謙遜しないの!」

「フフ…」

嶺音が手を振り、建物に戻っていく。


その後ろ姿を見ながら、奏弟がポツリと呟いた。

「ほんとだよ………
俺は…本当は、そんな良い奴じゃないんだから。
今だって……ネオちゃんを傷つけたあの女を、どうやって痛めつけてやろうかって考えてるんだもん。
まぁ…謝ってくれたし、何もしないけど。
ネオちゃんを傷つける奴は、俺が全員半殺しにしてあげるからね………!」
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