相思相愛・夫婦の日常~カナ♡ネオ編~
突然のことで、嶺音は何をされているかわからなかった。

ただ、目を見開いて固まっていた。

『ネオちゃん!どうしたの?
ネオちゃーん!!』

嶺音の握っているスマホから、奏弟の声が聞こえてくる。

嶺音の口唇を離した、愛田。
そして嶺音の口唇をなぞり、言った。

「嶺音。俺は、ずっとお前が好きだったんだ」

「………」

「久嗣よりも先に、俺の方がお前を好きだった。
でも、お前が久嗣と付き合いだしちまって、コクること出来なくて。
久嗣は親友だし、病気で後がなかったから、益々言えなくて。
久嗣が死んで、何度もコクろうと思った。
でも、お前との関係が崩れるのが怖くて言えなくてズルズル時間だけが経ってった」

「そう…だった、の…?」

「あぁ。
そしたら今度奏弟が現れて、お前にいつもひっついてて。
でも所詮ガキだし、大丈夫ってタカを括ってたら………
付き合いだしちまった。
あれは、マジで想定外だったなぁ。
まさかお前が、あんなガキに惹かれるなんて━━━━━」

「ラブ…」

「なぁ、嶺音。
俺はお前にとって、何だった?
19年もお前への想いを拗らせてた俺は、お前の目にどう映ってた?」

「友達だよ」

「だよな……(笑)」

「でも……」

「ん?」

「とっても、大切な人」
嶺音は、真っ直ぐ愛田を見て言った。

「そう…か……!」

「私の、ヒーローだよ!」

「…………え?」

「ラブ、覚えてる?
中学一年の時、まだ私達が“愛田くん、黒井くん、中岡”って呼び合ってた時。
私が、変なおじさんとおばさん夫婦に連れていかれそうになったことあったでしょ?」

「は?えーと……
━━━━━━あー!!あったな!!
学校の近くにいた、中年アル中夫婦だろ?」

「うん!
私、鈍くてバカだから、その夫婦に言われた“お父さんが呼んでる”の言葉に騙されて連れていかれそうになったやつ」

「そうそう!」

「あの時、ラブが助けてくれた。
たった一人で、あの夫婦に立ち向かっていってくれた。
あの時のこと、私は一生忘れない。
ラブが助けてくれなかったら、私は殺されてたかもだから。
━━━━━━だから、ラブは私のヒーロー!」
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