エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
翌朝、久しぶりに二人向かい合って朝食をとることができた。
「そういえば、クリスマスだけど夕方には帰れると思うから、食事でも行かないか?」
今年のクリスマスは土曜日。やはりお仕事があるみたいだけど、一緒に食事が出来そうで嬉しい。
「じゃあ、私が作ってもいいですか?あまり自信は無いですけど、ケーキを焼いてみたいなぁって思っていて...」
「もちろん嬉しいけど、本当にいいの?ケーキまで大変じゃない?」
「土曜日なので私はお休みですし、このオーブンで一度作ってみたかったんです!
あ、でもほとんど初めてなので失敗したら買って来ますね?」
「無理しなくていいからね。いつも料理は任せっぱなしでごめん」
「いいえ。柊哉さんこそ、今週もお忙しいと思いますけど無理しないでくださいね」
「ありがとう。優茉のケーキを楽しみに頑張るよ」
「あ、本当に期待はしないでくださいね?」
ははっと笑いながら食器を片付け、コートを羽織って先に出る柊哉さんを玄関まで見送りに行く。
「そうだ、年始だけど優茉のご家族に挨拶は出来そう?」
「あ、はい。先日祖母に聞いたら、年末に父も帰国するそうです」
「ありがとう。じゃあ、ご実家に伺うと伝えてくれる?」
「わかりました。ありがとうございます」
軽くハグをして見送ったあと、すぐに祖母にメッセージを送っておいた。
先日電話で挨拶に行きたいと話した時はとても驚いていたけれど、それ以上に喜んでくれていたのが嬉しかった。
きっとたくさんお料理を作って楽しみに待っていてくれるんだろうなぁ。そんな祖母の姿が想像できて気持ちも和んだけれど、父とはどんな会話になるのか全く想像ができず、一抹の不安は残る。
今週いっぱいは忙しいだろうけれど、これを乗り切れば少しゆっくりできるのかな。
年末年始も一緒にいられるように、体調管理もしっかりしないと。
私も食器を片付けて支度を済ませ、コートにマフラー手袋と完全防備で真冬の風が吹く寒空の下を歩いて病院へと向かった。