エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 この一週間は覚悟していたけれど、やはりほとんど柊哉さんに会う事は出来なかった。

 帰って来ても、シャワーを浴びて着替えるとすぐにまた病院に戻ってしまう。
 お弁当を渡せない日もあったし、外来に応援に行っている事も多く、顔も見られない日もあった。

 私も怒涛の一週間だったけれど、天宮さんのおかげもありなんとか少しの残業で終える事ができ、スーパーで明日使う食材などを買い物してからマンションに帰ってきた。

 明日はクリスマス。夕食を作るつもりだけど、本当に柊哉さんは帰って来られるのかな?
 ちょこちょこメッセージのやり取りはあるけれど、クリスマスのキャンセルの言葉はなかった。でもきっとクリスマスに限らず、柊哉さんのお仕事に絶対お休みできる日なんてないのだろう。
 だから私も常にその覚悟でいないと。


 寝支度を終えてベッドに入り、柊哉さんにおやすみなさいのメッセージを送るのが最近の日課。
 一人で寝ることが多く、寂しさを紛らわせる為に寝落ちするまで本を読み、ブックライトもつけたままにしていたけれど、翌朝消えている事が何度かあり夜中に彼が帰って来たのだとわかった。
 


 昨夜送ったメッセージは二時間ほど後に返信が来ていて、昨日も深夜までお仕事をしていたよう。

 私は朝から一通りの家事を済ませ、レシピを見ながら料理を始めた。

 ケーキは作り慣れていないので、何度も膨らんでいるか焼きすぎていないかオーブンを確認して、やっとスポンジ生地が完成。生クリームは甘さを控えめにして、イチゴをたっぷり使ったデコレーションケーキに仕上げた。

 何を作ろうか迷ったけれど、グラタンに煮込みハンバーグ、カプレーゼにピラフなど結局クリスマスらしい定番のメニューを選んだ。

 柊哉さんからはお昼頃、十八時には帰宅できそうだとメッセージをもらったのでその時刻に合わせて仕上げをする。

 この間麻美と買ったプレゼントも用意したけれど、本当にこれでよかったかな?バスソルトなんて、やっぱり攻めすぎていないか今更不安になる。

 ラッピングのリボンを直していると、鍵を開錠する音が聞こえて、慌ててプレゼントを部屋に置いて玄関へ向かった。
 
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