エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
「もしもし、優茉?」
「あっ!香月先生ですか?」
......あれ?画面には優茉の名前が表示されていたはず。でもこの声は...
「...天宮さん?」
「そうです、先生まだお仕事中でしたか?」
「いや、もう病院は出ているけど、優茉はどうしたの?」
「すみません、実は私たちグラスを間違えてしまって、優茉ちゃん濃いめのハイボールを飲んじゃって...。すっかり酔っちゃって、今うとうとしちゃってるんです。香月先生お迎えに来られますか?」
...濃いめのハイボール?
たしか優茉はお酒が弱くて、ほとんど飲まないって言っていたよな...
「あの、もちろん私が送ってもいいんですけど、先生が来てくれた方が優茉ちゃんも喜ぶかなぁと...」
「わかった、これから向かうから場所教えて」
正直本当に迎えに行く事になるとはあまり思っていなかったが、念の為車で来ていてよかった。
まだ言い合いを続けている二人に声をかけ、俺から誘っておいて悪いが優茉を迎えに行くと伝える。
「おう!頑張れよ、柊哉」
「柊哉、酔った勢いはダメだからね!」
相変わらず最後まで正反対の事を言う二人の言葉を背中で聞きながら、軽く手を上げて返事をし店を出た。
病院の近くにある創作和食屋。二十分ほどで到着し車を降りると後ろから声をかけられ、聞き覚えのある声に振り返る。
「あれ?香月先生?」
「天宮先生...」
そこにはデニムにセーター、ダウンジャケットを羽織ったラフな私服姿の天宮先生。
「お迎えご苦労様。なんか涼子が飲ませちゃったみたいでごめんね?」
「いえ、グラスを間違えたと...」
「うん、そうみたいだけど多分先に間違えたのは涼子だと思うから。お酒強いわりにすぐ酔っ払ってよくやるんだよ。
宮野さんお酒は大丈夫?涼子の飲んだって事はけっこうキツイのだったと思うけど...」
「一緒に飲んだ事は無いのでわかりませんが、お酒は弱くてほとんど飲まないと言っていました」
「あらら、大丈夫かな? 寝ちゃってるかもね」
「そうですね」
優茉たちがいる半個室の座敷の部屋に案内してもらい天宮先生が声をかけ中に入ると...、隣に座る天宮さんの腕にしがみついて肩を借り、うとうと眠っている優茉の姿が...。
「あ、健吾!みてみて?可愛いでしょ?優茉ちゃん寝ちゃったの。しかもこんなに私に抱きついて」と至極嬉しそうにしている妻に
「涼子...みてみてじゃないだろう?こんなになるまで飲ませちゃダメだろ...」と呆れたように言葉を返す夫の天宮先生。
電話では普通に話していたのでわからなかったが、天宮さんもだいぶ酔っているようだな。
何より想像以上に酔った優茉の姿に思わず足が止まり、入り口で突っ立ったままの俺に気づいた彼女は「あっ、香月先生も一緒だったんですね!見て下さい、すっごく可愛い顔で寝ちゃってるんです」そう言いながら優茉の頭をよしよしと撫でている。
幼さの残る寝顔に、口元は緩んでいてとんでもなく無防備な姿......。
なぜだか心がモヤっとして...、俺は天宮さんにさえ嫉妬しているのか...?とりあえず伊織を連れて来なくて正解だったな。こんな姿、あいつらでも見せたくない。
「涼子、分かったから楽しんでないで起こしてあげなさい」
「はーい」と少し残念そうにしながらも、優茉を起こし始める。
「なんかごめんね、香月先生」
苦笑いしながら妻のバッグを拾っている天宮先生になんとか言葉を返し、俺も優茉の荷物を拾い彼女の近くに膝をつく。
「優茉、帰ろう」
「んぅ?」と目を擦りながらゆっくりと身体を起こし、俺と目があった瞬間、ふにゃっとした寝起きの顔からパァっと笑顔に変わり、勢いよく抱きついてきた。
「っ、おっと...」
あまりの勢いに体勢を崩しながらもなんとか片手で抱き止めると、「んふふ、柊哉さん」と耳元で嬉しそうに俺の名前を呼ぶ優茉の破壊力は凄まじく...ドクンっと心臓が跳ね上がる。
「やーん、可愛い!」
「こら、涼子も帰るよ?」
なんとか体勢を整え、抱きついている優茉を支えながら立ち上がると「んー、もっとぎゅうってするの」とほんのり赤い頬に少し潤んだ瞳、つやつやの唇を少し尖らせ俺を見上げてくる。
......頼むから今はもう何も言わないでくれ
心の中でため息を吐きながら、優茉にコートを着せて片手で支えながら外に出た。
先に出ていた天宮先生が会計を済ませくれていたので、とりあえず優茉を助手席に座らせる。
「会計すみません、払います」
「ああ、いいよいいよ。涼子のせいで宮野さんこんなにさせちゃったし払わせて?むしろごめんね?」
そう言われたので、とりあえずここは引き下がりお礼を伝えて車を見送った。
「もしもし、優茉?」
「あっ!香月先生ですか?」
......あれ?画面には優茉の名前が表示されていたはず。でもこの声は...
「...天宮さん?」
「そうです、先生まだお仕事中でしたか?」
「いや、もう病院は出ているけど、優茉はどうしたの?」
「すみません、実は私たちグラスを間違えてしまって、優茉ちゃん濃いめのハイボールを飲んじゃって...。すっかり酔っちゃって、今うとうとしちゃってるんです。香月先生お迎えに来られますか?」
...濃いめのハイボール?
たしか優茉はお酒が弱くて、ほとんど飲まないって言っていたよな...
「あの、もちろん私が送ってもいいんですけど、先生が来てくれた方が優茉ちゃんも喜ぶかなぁと...」
「わかった、これから向かうから場所教えて」
正直本当に迎えに行く事になるとはあまり思っていなかったが、念の為車で来ていてよかった。
まだ言い合いを続けている二人に声をかけ、俺から誘っておいて悪いが優茉を迎えに行くと伝える。
「おう!頑張れよ、柊哉」
「柊哉、酔った勢いはダメだからね!」
相変わらず最後まで正反対の事を言う二人の言葉を背中で聞きながら、軽く手を上げて返事をし店を出た。
病院の近くにある創作和食屋。二十分ほどで到着し車を降りると後ろから声をかけられ、聞き覚えのある声に振り返る。
「あれ?香月先生?」
「天宮先生...」
そこにはデニムにセーター、ダウンジャケットを羽織ったラフな私服姿の天宮先生。
「お迎えご苦労様。なんか涼子が飲ませちゃったみたいでごめんね?」
「いえ、グラスを間違えたと...」
「うん、そうみたいだけど多分先に間違えたのは涼子だと思うから。お酒強いわりにすぐ酔っ払ってよくやるんだよ。
宮野さんお酒は大丈夫?涼子の飲んだって事はけっこうキツイのだったと思うけど...」
「一緒に飲んだ事は無いのでわかりませんが、お酒は弱くてほとんど飲まないと言っていました」
「あらら、大丈夫かな? 寝ちゃってるかもね」
「そうですね」
優茉たちがいる半個室の座敷の部屋に案内してもらい天宮先生が声をかけ中に入ると...、隣に座る天宮さんの腕にしがみついて肩を借り、うとうと眠っている優茉の姿が...。
「あ、健吾!みてみて?可愛いでしょ?優茉ちゃん寝ちゃったの。しかもこんなに私に抱きついて」と至極嬉しそうにしている妻に
「涼子...みてみてじゃないだろう?こんなになるまで飲ませちゃダメだろ...」と呆れたように言葉を返す夫の天宮先生。
電話では普通に話していたのでわからなかったが、天宮さんもだいぶ酔っているようだな。
何より想像以上に酔った優茉の姿に思わず足が止まり、入り口で突っ立ったままの俺に気づいた彼女は「あっ、香月先生も一緒だったんですね!見て下さい、すっごく可愛い顔で寝ちゃってるんです」そう言いながら優茉の頭をよしよしと撫でている。
幼さの残る寝顔に、口元は緩んでいてとんでもなく無防備な姿......。
なぜだか心がモヤっとして...、俺は天宮さんにさえ嫉妬しているのか...?とりあえず伊織を連れて来なくて正解だったな。こんな姿、あいつらでも見せたくない。
「涼子、分かったから楽しんでないで起こしてあげなさい」
「はーい」と少し残念そうにしながらも、優茉を起こし始める。
「なんかごめんね、香月先生」
苦笑いしながら妻のバッグを拾っている天宮先生になんとか言葉を返し、俺も優茉の荷物を拾い彼女の近くに膝をつく。
「優茉、帰ろう」
「んぅ?」と目を擦りながらゆっくりと身体を起こし、俺と目があった瞬間、ふにゃっとした寝起きの顔からパァっと笑顔に変わり、勢いよく抱きついてきた。
「っ、おっと...」
あまりの勢いに体勢を崩しながらもなんとか片手で抱き止めると、「んふふ、柊哉さん」と耳元で嬉しそうに俺の名前を呼ぶ優茉の破壊力は凄まじく...ドクンっと心臓が跳ね上がる。
「やーん、可愛い!」
「こら、涼子も帰るよ?」
なんとか体勢を整え、抱きついている優茉を支えながら立ち上がると「んー、もっとぎゅうってするの」とほんのり赤い頬に少し潤んだ瞳、つやつやの唇を少し尖らせ俺を見上げてくる。
......頼むから今はもう何も言わないでくれ
心の中でため息を吐きながら、優茉にコートを着せて片手で支えながら外に出た。
先に出ていた天宮先生が会計を済ませくれていたので、とりあえず優茉を助手席に座らせる。
「会計すみません、払います」
「ああ、いいよいいよ。涼子のせいで宮野さんこんなにさせちゃったし払わせて?むしろごめんね?」
そう言われたので、とりあえずここは引き下がりお礼を伝えて車を見送った。