エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
マリーゴールド <嫉妬>
お正月休みも終わり、年初めの忙しさも落ち着いてきた頃、私が今まで住んでいたマンションを解約し荷物も全て柊哉さんのマンションに引っ越した。
両家に挨拶を済ませ結婚の承諾も得られたので、婚姻届は彼のお仕事の関係もあり時期を見て提出しようということになった。
以前は引っ越す事を少し躊躇ったけれど、今はその不安もない。柊哉さんの言葉もあり、結婚の二文字もだいぶ現実味を増してきた。
でも、婚姻届を出すまでは公表しないで欲しいという私の希望で、まだ病院には内緒。
なので仕事中は必要以上に柊哉さんと言葉を交わしたり、関わる事もしないのだけど...
「優茉、今日は雪が降りそうだから一緒に車で行こう?」
最近は、とても寒いから、空気が乾燥して喘息に良くないから、と何かと一緒に車で出勤しようとよく誘われる。
帰りも彼の仕事が終わっていなくても、着替えを取りに行くから、一旦家に戻るからと一緒に帰ることが増えた。
それに、朝起きるとさりげなく私の首元を触って体温を確認したり、ハグをして呼吸音に耳を澄ませていたり、結城先生の診察に一緒にきたり...
なんだか最近の柊哉さんは、少し過保護というか...気にかけてもらっているのはとても嬉しいけれど、急にどうしちゃったのかな?
そんな日々が続いたある日、珍しく仕事が落ち着いていたので天宮さんと一緒にお昼休憩に入った。
食堂でお弁当を食べながら、夫婦としての先輩でもある天宮さんに、最近の柊哉さんの行動を相談してみる。
「ふふっ、香月先生ってクールそうに見えて意外と溺愛するタイプなのね!でも、度が増してきてるのは気になるわよねー。
何かきっかけがあったんじゃない?優茉ちゃんが心配かけるような事とか、やきもち妬かせるような事とかなかった?」
「うーん、特に思い当たる事はありませんが、私何かしてしまったんでしょうか...」
「そうねー、優茉ちゃんが気づいていないだけか、それかただ単に可愛すぎて過保護気味になっちゃってるだけかも!」
「い、いえ、そんな事は...」
「ふふっ、でもあんまり考えなくてもいいと思うわよ?気にかけてくれるのは愛されてる証拠だし、優茉ちゃんからもっと甘えて欲しいって思っているのかも」
そうなのかな...?私は十分過ぎるほど甘えてしまっていると自覚しているんだけれど...
そんな事を考えていると「何の話ですか?僕も混ぜてくださいよー」と唐揚げ定食が乗ったトレーを持った風見さんが隣に座った。
「風見くん、いつも言ってるでしょ?女同士の話なんだから入ってこないでよね」
「そんな事言わないで下さいよー。せっかくまた一緒に休憩入れたんですから!」そう言いながらご飯を頬張り始める。
そういえば最近、風見さんと休憩が一緒になる事が多いなぁ。
食堂で食べていると隣にきたり、あまり人がいない休憩スペースで食べていてもコンビニ袋を持って隣に座る事もある。
いつも明るくて色んな話をしてくれるし、一緒にいても楽しいからいいんだけど。