エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
その後もお店をゆっくりと見てまわり食器やカトラリーを追加で買ってから車に戻ったタイミングで、スマホの着信音が鳴り響く。
彼の顔つきが変わったのをみて、これは病院からの電話だと悟る。
病院の近くでトラックと車三台を巻き込んだ事故があったようで、そのまま病院へと車を走らせた。
「じゃあ優茉、悪いけど気をつけて帰って。落ち着いたら連絡する」
「はい、私は大丈夫なので行ってください」
病院の駐車場に車を停め、急いで院内へと走っていく彼の背中を見送る。
私はここから歩いて帰ることにし、買ってもらった本だけを持ってマンションに戻ってきた。
その日彼が帰宅したのは二十三時を過ぎた頃。
少しだけ疲れたようなホッとしたような表情をしていて、シャワーを浴びるとソファで本を読んでいた私の手を引いてベッドへ傾れ込んだ。
言葉もなくひたすらに降ってくるキスに、なんとか呼吸を確保するだけで精一杯。
しばらくして、ゆっくりちゅっちゅっと額と頬に唇をつけて離れていく。
「っはぁ、しゅ、柊哉、さん...?」
ぎゅっと抱きしめられごろんと横になると、ふぅ...と官能的な彼のため息が鼓膜に響いた。
「優茉、昨日の事もあるし、今日は我慢するけど、これからはたまに俺の我儘に付き合ってくれる?」
「...わが、まま?」
顔を上げて彼を見上げると、頭を撫でながらまた腕の中に戻される。
「タガが外れるってこういう事を言うんだろうな。もう前のようには、我慢できないかもしれない」
「...それが、わがまま、ですか?」
「そう。優茉は、あまりこういう事が好きではないだろう?」
「...今までは、そうでした。でも、昨日はとても...幸せで、初めて、その...愛し合うっていう意味がわかったような気がしたんです」
「優茉...すごく嬉しいけど、今そんな可愛いこと言うのは反則だな」
「あ、えっと、だから、わがままじゃ、ないです...」
「ありがとう。でも嫌な時はちゃんと言って欲しい。でないと、毎日でも優茉を感じたくなってしまう。
昨日優茉を抱いてから、すごく心が満たされて癒されたから」
それは、私も同じ。身体は少し疲れたけれど、心が満たされてすごく幸せだった。
「おやすみ、今日はこのまま寝よう」