エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
父さんの知り合いが院長を務める病院からオペの依頼があり、そちらの病院に行く事も多く、多忙を理由にほとんど家には帰らなかった。
優茉を傷つけずに遠ざける方法が、まだわからない。
どうしたらいいのか答えが出ないまま、少しずつ距離を空けている現状に、彼女は不安そうな顔をみせた。
それでも何も言わず、俺の仕事が落ち着くのを待ってくれている様が見ていられないほど苦しい。
オペの日取りが決まり、それまでの間俺はホテルに泊まる事にし、優茉には詳しい事は告げずしばらく帰れないと伝えると、"私もその間は実家に帰ります"とメッセージがきていた。
優茉...。きっと、一人であの部屋で過ごすことが限界だったのだろう。
それは、俺も痛いほどよく分かる。優茉が出て行った時、あの部屋にいるのがとても辛かったから。
結局この数週間の間は、ただ彼女に寂しい思いをさせているだけだよな...
俺が切り出せないでいるせいで、ずるずると先延ばしにしているせいで...。
一ヶ月ほどホテルで過ごす事になり、その間忙しかったのは本当だが、それを理由に優茉の誕生日も母親の命日も一緒には過ごせないとメッセージで伝えた。
俺には、彼女の誕生日を祝う資格も、ましてや彼女の母親のお墓に手を合わせる事など許されないだろう。
彼女からは"わかりました。お仕事頑張って下さい"とだけ返事が来ていた。
こんな中途半端な事をしている俺を、優茉はまだ信じて待ってくれているのだと感じ、心が痛くてたまらなかった。
答えを出せずに止まったままの俺の心とは反対に、容赦なく時間は過ぎていく。
季節も進み、外は桜の花も咲き始めた。いつもこの頃になると母さんの墓参りの事を考えるが、正直今は何も考えられない。
そして、カナダでの学会に出席する事も決まり、白河病院でのオペが終わった次の日にはカナダに発つことになったので、今年の墓参りは四月になりそうだ。
白河病院には同じ大学を出た同期もいるため、友人達と話していると幾分かは気も紛れたが、夜一人になると考えるのは優茉の事ばかり。
いくら諦めようと思っても、彼女のことを忘れる事など出来ない。
それに、またうちの病院に戻れば少なからず顔を合わせる事になる。
きっと、俺はその現実に耐えられないだろう。もういっそのこと、またカナダの病院に戻ろうか...
毎日のように伊織からはメッセージが入り、おそらく彼から事情を聞いたであろう翔からも度々電話がかかってくる。
適度に返事はしているが、自分の中でも答えが出ないのだから、結局何も言えない。
それでも心配してくれている事は伝わってくるので、二人には感謝している。
父さんの知り合いが院長を務める病院からオペの依頼があり、そちらの病院に行く事も多く、多忙を理由にほとんど家には帰らなかった。
優茉を傷つけずに遠ざける方法が、まだわからない。
どうしたらいいのか答えが出ないまま、少しずつ距離を空けている現状に、彼女は不安そうな顔をみせた。
それでも何も言わず、俺の仕事が落ち着くのを待ってくれている様が見ていられないほど苦しい。
オペの日取りが決まり、それまでの間俺はホテルに泊まる事にし、優茉には詳しい事は告げずしばらく帰れないと伝えると、"私もその間は実家に帰ります"とメッセージがきていた。
優茉...。きっと、一人であの部屋で過ごすことが限界だったのだろう。
それは、俺も痛いほどよく分かる。優茉が出て行った時、あの部屋にいるのがとても辛かったから。
結局この数週間の間は、ただ彼女に寂しい思いをさせているだけだよな...
俺が切り出せないでいるせいで、ずるずると先延ばしにしているせいで...。
一ヶ月ほどホテルで過ごす事になり、その間忙しかったのは本当だが、それを理由に優茉の誕生日も母親の命日も一緒には過ごせないとメッセージで伝えた。
俺には、彼女の誕生日を祝う資格も、ましてや彼女の母親のお墓に手を合わせる事など許されないだろう。
彼女からは"わかりました。お仕事頑張って下さい"とだけ返事が来ていた。
こんな中途半端な事をしている俺を、優茉はまだ信じて待ってくれているのだと感じ、心が痛くてたまらなかった。
答えを出せずに止まったままの俺の心とは反対に、容赦なく時間は過ぎていく。
季節も進み、外は桜の花も咲き始めた。いつもこの頃になると母さんの墓参りの事を考えるが、正直今は何も考えられない。
そして、カナダでの学会に出席する事も決まり、白河病院でのオペが終わった次の日にはカナダに発つことになったので、今年の墓参りは四月になりそうだ。
白河病院には同じ大学を出た同期もいるため、友人達と話していると幾分かは気も紛れたが、夜一人になると考えるのは優茉の事ばかり。
いくら諦めようと思っても、彼女のことを忘れる事など出来ない。
それに、またうちの病院に戻れば少なからず顔を合わせる事になる。
きっと、俺はその現実に耐えられないだろう。もういっそのこと、またカナダの病院に戻ろうか...
毎日のように伊織からはメッセージが入り、おそらく彼から事情を聞いたであろう翔からも度々電話がかかってくる。
適度に返事はしているが、自分の中でも答えが出ないのだから、結局何も言えない。
それでも心配してくれている事は伝わってくるので、二人には感謝している。