エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉さんも、同じ気持ちでいてくれた事が本当に嬉しかった。
面と向かって、やっぱりもう一緒には居られないと言われたら、私は...。きっともう立ち直れない。
すごく怖かったけれど、勇気を出して話をして良かった。
まだどうなるかはわからないけれど...、二人の気持ちが変わらなければ、なんとかなる気がしていた。
このクローバーが、私たちを繋いでくれていたなんて...。まさに、幸運のお守りだったんだ。
二人の気持ちが決まったので、すぐにでも行動したいところだけれど、柊哉さんは明日の朝にはカナダに発つ。
ひとまず今日はマンションに泊まり、柊哉さんの帰国後に改めて院長や母方の祖父母の元を訪ねることに決めた。
おばあちゃんに今日はマンションに泊まる事を電話で伝えると、明るい声で良かったわね!と言ってくれた。
その夜は、もう片時も離れないとばかりに一緒にお風呂に入り、お互いピッタリと身体をくっつけて抱きしめ合いながら眠った。
やっぱり、ここが一番安心する。久しぶりに心が緩んで、深い眠りにつく事ができた。
翌朝早くに彼を見送ってから、私もマンションから出勤した。
顔を合わすなり、天宮さんには「あれ?優茉ちゃんなんか嬉しそう。良いことでもあった?たしか今日から香月先生、カナダに出張よね?」そう言われてしまうくらい、顔が緩んでいたよう。
気を引き締め直して仕事をし、そろそろお昼の休憩に入ろうとした時。
タイミングを見計らったように、院長秘書の林さんが訪ねてきた。
「宮野さん、少しお時間よろしいですか? 院長がお呼びです」
少しドキッとしたけれど、林さんに案内され院長室へと向かい中は入ると、応接セットには紅茶が用意されていて、そこへ座るよう促された。
何の話だろうとドキドキしていると、対面に座った院長は遠慮がちに口を開く。
「急に呼びつけてすまないね。今日から柊哉はカナダに行ったそうだな」
「はい、一週間ほどで戻られると聞いています」
「...柊哉とは、うまくやっているのかい?」
「...はい。ただ、柊哉さんはしばらく白河病院に行かれていたので、私もその間は実家の方に帰っていました」
「そうか...。実は君に話さなければならない事があってね。
...柊哉との結婚は、考え直した方がいい」
「......え?」