エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
家に到着し玄関を入ってすぐに、後ろから柊哉さんに抱きしめられる。
私も嬉しさと安心感からぎゅっと彼に抱きつくと、頭を抱えるように強く強く抱きしめ返された。
苦しくなりもぞもぞと顔を出して上を向くと、すぐに唇を塞がれる。
こんなに熱くて蕩けてしまいそうなキスは、久しぶり。脚の力が抜けてくるのを感じ、彼の腕をぎゅっと掴むけれど、キスの雨は止む気配もない。
このまま流されたい気もするけれど、まだ夕方だしお腹が...そう考えた途端、ぐぅーっとこの場に似合わない全く色気のない音が響いた。
「ふふっ、優茉お腹空いた?」
一瞬で耳まで熱くなり、恥ずかしくて俯く私を覗き込んでくる。
「可愛すぎて今すぐ食べちゃいたいところだけど、先にご飯にしようか」
「は、はい」
手を引かれてリビングへと移動するけれど、恥ずかしすぎて顔を上げられない。
でも最近はあまり食事が喉を通らなかったのは事実で、すっかり安心したせいか急にとてもお腹が空いてきた。
買い物もしてこなかったので、冷蔵庫にはあまり食材はないけれど...
「俺が作るから、優茉は着替えておいで」
そう言われ、とりあえず部屋着に着替えてからキッチンに戻ると彼はパスタを茹でていた。
「簡単なものでごめんね、帰りにスーパーに寄ってくるべきだった」
「いえ、ありがとうございます。これでサラダにしますね」
カットされている野菜とトマトを見つけて、ドレッシングを作ってサラダにする。
柊哉さんは手早くカルボナーラを作ってくれて、一緒にテーブルに着いた。
少し前までは、もうこんな風に一緒に食事をすることも出来ないのだと思っていた。
それが、こんなに穏やかな気持ちでまた一緒にテーブルに着くことができた。それだけでも、とても幸せで顔がにやけてしまいそう。
「パスタ、とっても美味しいです!」
クリーミーで濃厚なソースがとても美味しい。お腹が空いていたのもあり、思わずパクパク食べ進めていると、ふと彼の手は止まっている事に気づく。
どうしたんだろう?ともぐもぐしながら彼を見つめると、とても優しい顔で微笑んでいる。
「ふっ可愛い、ずっと見ていたい。また優茉とこうして一緒に食事が出来るなんて、夢みたいだな」
「柊哉さん...。私もです、同じ事を考えていました。こうやってまた一緒にいられて、本当に幸せです」
「俺も。最高に幸せだ」
ふふふっと二人で笑い合ってから、また食べ始める。
「優茉、最近ちゃんと食べれてなかった?少し痩せた気がする」
「そ、そうですか?それなりに食べてはいたと思いますけど...」
「そう?じゃあ後で確認する」
後で確認...?体重計でも乗せられるのかな?でも元々何キロだったのか自分でもわからないなぁ。
そんな事を考えながら、あっという間に完食した。久しぶりにお腹が満たされた感じも、とても心地良い。
ほとんど柊哉さんに作ってもらったので私が片付けをして、彼はその間にお風呂を掃除してお湯を入れてくれていた。