エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 そして、私の体調も落ち着き彼のお仕事もひと段落した四月下旬。

 今日、二人揃って婚姻届を提出してきた。

 結婚式などはまだ先だけど、両家と話し合い柊哉さんの希望もあって先に籍を入れることに決めた。

 四月二十八日。彼が選んでくれたこの日は、語呂合わせから "よ(4)つ(2)ば(8)" 四つ葉の日という記念日なんだそう。

 私たちを繋いでくれていた四つ葉のクローバー。一生忘れないようにとこの日を選んでくれた気持ちが、とても嬉しかった。

 「やっと、この日を迎えられたな...」

 そう感慨深く呟く彼の手を握る。

 「至らない妻ですが、末長くよろしくお願いします」

 「こちらこそ。もう何があっても、二度と離さないからね」

 そう強く手を握り返してくれた。


 まだ"香月優茉"になった実感はないけれど、どうやら院長が話してしまったらしく、もうすでに院内では彼が結婚するらしいと噂が広まっている為、連休明けには公にしようと決めた。

 婚姻届を提出した後、二人で結婚指輪を探しにジュエリーショップを見てまわる。
 どのお店でも、おめでとうございますと祝福の言葉をもらい、奥様と呼ばれる事がなんだかとても照れくさい。

 それでも、こうして二人で結婚指輪を選んでいる時間は最高に幸せなひと時で、本当に彼の妻になれたんだと実感できた。

 柊哉さんは仕事柄、常に指輪はつけられないけれど、せっかくなのでお揃いのデザインに。
 私が気に入ったものがいいと言ってくれたのでとても迷ったけれど、彼の指にも馴染むようなウェーブラインが美しいデザインの物を選んだ。
 そして指輪の内側には、お互いの誕生石と日付の刻印もしてもらい、後日受け取りに行くことになった。

 外に出ると、もうすっかり日も沈み辺りは薄暗い。
 車に乗り込むと、行きたいところがあると言われ、どこだろう?と思いながらも過ぎていく外の景色を眺めていた。

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