エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
サネカズラ　<再会>
柊哉side

　考えながら作業をしていたら、最低限の片付けは終わっていた。あとは少しずつ片付けていけば大丈夫だろうとソファに身体を預けた時、スマホが振動した。

　「もしもし？」

　「おぉ、柊哉。日本に帰ったきたのか？」

　俺の数少ない親友のひとり、翔からだった。

　「ああ、帰ってきたよ。大体荷物も片付いたところ」

　「そうか、おかえり！近いうちに伊織も誘って飲みに行こうぜ」

　「そうだな、久しぶりにあの店にも行きたいし」

　「おう、じゃあ伊織にも連絡しとくから。またな！」

　「ああ、よろしく」

　久しぶりの親友からの飲みの誘いに、日本に帰ってきたことを実感してきた。
　カナダにいた時もそれなりに快適だったし、ホームシックになった事もないけれど、やはり日本に帰ってくると空気というか何とも表現できないが、安心感のようなものに包まれた。

　勤務は明後日からだが、すぐにオペもある為やることはある。一応挨拶も兼ねて明日は病院に行くつもりだったので、シャワーを浴びて再びベッドに入った。


　翌日、ストライプのシャツにスラックス、紺のジャケットを羽織って病院まで歩いた。

　病院のすぐ近くのマンションを購入したので、車もあるが徒歩でも十五分もかからない。変わらない景色を懐かしむわけでもないけれど、なんとなく歩きたい気分だった。
　もう九月だが今日はジャケットなどいらないほど暑い。今の時期はカナダとそれほど気温は変わらないはずなのに、直射日光がいつもより熱く感じた。

　まずは院長室へ行き、帰国の報告と今後のスケジュールの話をする。院長とは俺の父親だが、向こうにいる間もほとんど連絡は取っていなかった。
　昔から会う事も少なかったため、親子らしい会話なんて皆無。ほとんど業務連絡のような会話をしてから部屋をあとにし、外科部長の橘先生の所へ向かった。

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