エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 さっとシャワーを浴びて、日本ではなかなか着ないキャミソールワンピースに着替える。
 肩や背中など普段より肌の露出は多いけれど、ハワイなら違和感なく着られるので思い切って買ってみた一着。

 カーディガンを羽織るにしても、私にしては少し大胆だったかな?と鏡を見ていると柊哉さんが来て、「可愛いね」と言ってもらえたので安心した。


 朝食を買うために外へと出ると、少しだけ涼しい風がふわっと流れているようでとても心地が良い。
 ゆっくりとお散歩しながら、ガイドブックで見て気になっていたお店へ行き、定番のアサイーボウルやマフィンなどを買ってホテルへと戻った。

 バルコニーで海を眺めながら食べる朝食は、景色も独り占めしているようでとても贅沢な気分。

 「優茉、今日は日に焼けないように屋内でショッピングだよね?パンケーキも食べたいんだっけ?」

 「はい!クリームとフルーツたっぷりの、食べてみたいです」

 「ははっ、本当に甘いものが好きだね。じゃあお昼はそれにしようか。夕方には父さんたちも着くだろうし、これ食べたらさっそく行こう」

 唯一式に招待したお互いの父親は、今日の夕方にはホテルに到着すると連絡が来ていて、初めて四人で食事をする予定。
 なので、朝食を食べ終えるとさっそく昨日のリムジンに乗って、有名なショッピングセンターへと出かけた。


 ハイブランドからハワイらしい雑貨屋さんなど様々なお店が入っていて、全てを見て回るのは難しいほど広い。

 途中カフェで一息ついたり、お昼は大きなパンケーキを二人でシェアしながら食べた。
 テーブルにドンっと置かれたパンケーキにはクリームとフルーツが山のように盛り付けられていて、思わず目を合わせて驚いたけれど、甘さ控えめのクリームがとても美味しく二人で完食した。

 「優茉、満足した?そろそろホテルに戻ろうか」

 「そうですね、行きましょう」

 「歩き疲れちゃった?大丈夫?部屋で少し休もうか」

 「いえ、柊哉さんこそ私の買い物に付き合わせてしまって疲れてませんか?」

 「俺は大丈夫だよ。ゆっくり買い物するのも久しぶりだったし楽しかったね」

 そう言いながら、買い物した荷物に加えて私のバッグまで持ってくれる。
 そして片手は私の腰にまわして支えるようにぴたりとくっつきながら歩き、こめかみにキスを落とす。海外なら普通の事かもしれないけれど、なんだかいつもと少し違う彼の雰囲気も相まってとてもドキドキした。


 部屋へと戻り少し休憩してから、ロビーで私のお父さんと合流しすぐ後に院長も到着した。

 柊哉さんが予約してくれていたクルーズ船に乗り込み、四人でテーブルについた時はまだ少しぎこちない雰囲気だった。
 父親同士は電話で会話はしていたけれど、顔を合わせるのは今日が初めて。

 それでも、食事が進むにつれ野球観戦という共通の趣味を見つけ、アルコールの力も加わり次第に和やかな雰囲気へ変わっていった。

 そんな二人を残して甲板へと出ると、ちょうど太陽が沈んでいく最中。海の上から見る景色もまた格別で、お互い言葉もなくただただ見入ってしまった。

 そして陽が沈むと今度はどこからか花火が上がり、レインボーカラーの光が海にも反射してとても綺麗だった。
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