エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
「夜ご飯は俺が作るよ、何がいい?」
「あ、いえ大丈夫です!私が作りますから、柊哉さんは休んでいて下さい」
「俺はさっき寝たから大丈夫。優茉こそ疲れただろう?座っていて。これからはなるべく俺が家事をするから。優茉は絶対無理しないで、身体を大切にして?」
「そんな...もちろん身体は大切にしますけど、無理しない範囲でやりますから今まで通りで大丈夫です」
「だーめ。優茉はすぐ頑張りすぎちゃうし、体調悪くても俺に言ってくれないし。これから悪阻も酷くなるかもしれないから心配なんだよ。だから、出来る限り俺にもやらせて?」
「...わかり、ました」
よしよしと宥めるように頭を撫でられて、手伝うと言ってもそのままソファにいるようにと言われてしまった。
結局片付けもやらせてもらえず、バスルームへと追いやられてしまい大人しくシャワーを浴びてリビングに戻ると、柊哉さんは電話中だった。
「優茉、明日の朝一で診てもらえるように頼んでおいたから。仕事が始まる前に一緒に産科に行くからね」
「え?でも予約は...?」
「俺の同期で友人だから、時間前に診てもらえるよう頼んだ。ほら、披露宴の時始まってすぐに呼び出されて帰ったやついただろ?その人だよ」
「そ、そうだったんですね...」
確かうちの産科はとても人気があって、なかなか分娩予約が取れないと聞いた。特別扱いは少し気が引けるけれど、早くきちんと診てもらいたいのは本当なので、お願いすることに決めた。
「さぁ、もう寝るよ?ベッド行こう?」
「え?あ、私はまだ明日の用意があるので、柊哉さん先に寝ていてください。当直で寝不足なんですから」
「じゃあ俺も手伝うから、やること教えて?」
「いえ、大丈夫ですから!少ししたら行くので先にベッドに入っていてください」
そう言いながら彼の背中を押すと、渋々といった感じでベッドルームへと向かって行った。
ふぅ、もしかして赤ちゃんが生まれるまでずっとこの調子なのかな...?
心配してくれるのは嬉しいけれど、妊娠は病気ではないし元気なら出産までお仕事もいつも通りにしたいのに。
そんな事を考えながら、明日のお弁当の用意と少し勉強をしてからベッドへ行くと、柊哉さんはタブレットを持ったまま眠っていた。
...やっぱり疲れているよね。昨日は当直だったし、最近は毎日のように帰りも遅かった。
明日からは今まで通りにさせてもらえるように、もう一度ちゃんと話してみよう。今のところは元気なんだから。
そっと手からタブレットを抜いてライトを消し横になると、寝ぼけながらも後ろからお腹をそっと撫でるように抱きしめられた。