エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 その後の検診では、少し赤ちゃんは小さめだと言われていたけれど、問題はなく順調に育ってくれているようで安心した。

 私は後期に入りやっと悪阻から開放されたけど、今度はお腹が大きくなってきた事で胃が圧迫され、食べるとすぐに苦しくなってしまう。
 お腹の重さで腰や股関節も痛みがあったり、トイレが近くなったり夜あまり眠れなかったり...。

 命を育てるという事の大変さを改めて感じ、全ての妊婦さんやママさんに敬服の思いだった。


 それでも、約束通り時々天宮さんとランチをしながらお互いに相談をしたり、大変さを共感し合ったりすることが出来て嬉しかった。

 そして柊哉さんも、時々出張や当直で家を空けることもあったけれど、なるべく減らしそばにいる時間を作ってくれている。
 専門書を読み返し勉強をして、私の身体のケアをしてくれることもとても心強かった。

 退院してからは毎朝聴診器をあてられ健康状態を確認される事に少し驚いたけれど...。
 でも、自分でも気が付かないところもあったので、診てもらえるのは安心だし改めて贅沢な環境なんだと実感した。


 お休みの日には、二人で赤ちゃんを迎えるための準備をしたり、小さな洋服やベビーグッズを一つ一つ悩みながら一緒にお買い物をする時間がとても幸せだった。

 お部屋の景色が少しずつ変わってきて、可愛らしいベッドやお洋服、哺乳瓶などが置かれているのを見ると、いよいよだなぁと実感する。

 胎動も力強くなり、服の上からでもわかるほどぐいぐいと押していたり、ぐるんぐるんと動いているのがはっきりと分かる。

 「元気に育ってくれてありがとう。でももう少しお腹の中にいてね」と声をかけながら撫でると、返事をするようにポコンと動くのを感じ思わず笑ってしまった。


 そして、急にお腹が大きくなり動くこともしんどくなり始めていた頃、天宮さんから無事に赤ちゃんが産まれたとの連絡がきた。

 「ぜひ抱っこしにきてね」と言ってもらい、次の日に病室を訪ねてみると、小さな男の子を抱っこする天宮さんの姿があった。
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