エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 先生のお家は、想像以上にとても素敵だった。
 リビングを開けると開放的な大きな窓があり、十八階の高さから見える景色はとても見晴らしが良くて気に入った。

 白を基調としたキッチンは広く清潔感たっぷり。調理スペースも今までのお家の何倍もあり、とても料理がしやすそうでわくわくした。

 その後に先生が使っている部屋に案内され、そこには机にパソコンとノート。何もないけどねと言っていたけれど、その横の本棚にはずらっとたくさんの医学書が並んでいた。
 部屋の隅にはまだ段ボールも残っていて、その中には先ほど好きだと言っていたジグソーパズルが五.六箱入っている。

 「パズル、たくさん...」

 「ああ、気に入ったのがあるとつい買ってしまうんだけど、なかなか作る時間がなくて。気がつくと溜まっていた」

 そう少し恥ずかしそうに苦笑いする先生は、私の背中を軽く押して次の部屋へと誘導する。

 向かい側の部屋のドアを指さして「こっちが優茉の部屋」そう言ってドアを開けてもらうと、私には十分すぎる広さの部屋に机とローテーブル、ソファが置いてあった。

 「ごめん、とりあえずこれしか家具は用意できてないんだ。必要な物を聞いてから買い足そうと思っていて」

 「いいえ!私には十分すぎます。わざわざ用意して頂いてすみません、ありがとうございます」

 少しの間住む私のために、わざわざ用意してくれるなんて...しかも先生はとても忙しいのに。申し訳なさでいっぱいだったけれど、先生の気遣いがとても嬉しかった。

 「本が好きだと言っていたし、本棚を買い足そうか」

 「いいえ、そんなにたくさんは持ってきていませんし、収納スペースがあるので十分です!」

 そう?とあまり納得していない先生だけど、一旦この話を終わらせる。

 「ところで、お腹は空いてる?夕食は食べに出ようと思っていたんだけど」

 「はい。あの...もし良ければ、私が作りましょうか?」

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