エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
「...ま? 優茉?」
肩に触られている感覚と最近聞き慣れてきた声がして、ハッと目が覚める。
「あ、先生?お帰りなさい!すみません、寝てしまっていたみたいで...」
「連絡してもずっと既読にならなかったから心配したけど、何もないなら安心したよ」
そう言う先生は、本当に安堵したような表情をしていた。
「あ、ごめんなさい、気がつかなくて...。今何時ですか?」
「八時前かな?」
「あ、ご飯!すみません、すぐ用意するのでお風呂に入ってきてください!」
「急がなくていいよ。優茉もまだ食べていないよね?一緒に用意しよう」
また先生に手伝わせてしまったけれど、おかげですぐに用意ができ二人で食事を始めると、先生は今日あった事を話してくれた。
「そういえば、いつもあの本を読んでいるの?」
「...今日買ってきた本ですか?」
「いや、脳外の看護ケアの本。あれで勉強していたの?」
あ、さっき開きっぱなしで寝ちゃっていたから...。
「いつもではないですけど、脳外科のクラークに異動が決まった時に、少しでも知識を入れておいた方が良いかと思って買ってみただけなんです」
「へぇ、えらいな優茉は。その努力が周りからの信頼に繋がっているんだろうな」
「い、いえ。そんな事、ありません...」
急に褒めれて恥かしくなったけれど、先生はいつもストレートに言葉にしてくれるので、胸の奥までじわじわと嬉しさが沁みていくような感じがして、なんだか心が軽くなった。
今日こそ私が片付けをさせてもらって、先生に先にお風呂に入ってもらうことが出来た。