エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
ちょうど回診を終えたところでスマホが鳴り、でると救急外来からの応援要請だった。
脳外の外来に通院していた患者さんで、急に意識を失い倒れ運ばれてきたそう。
すぐに救急へと向かい、処置や検査を手伝うが、幸いオペは必要なさそうなので、このまま病棟にあげ経過観察となった。
スクラブが汚れたことに気がつき、医局に戻る前にロッカー室へ行き新しい物に着替える。
白衣を羽織ってちょうど俺が出ようとした時、扉が開いて結城が入ってきた。
「おう、香月お疲れ! これからか?」
「いや、救急の手伝いに行ってた。汚れたから着替えに来ただけだよ」
「なんか顔が疲れてるけど、ちゃんと家帰って寝てるのか?」
「まぁ、それなりにな」
「そうだ、ずっと気になってたんだよ。香月、あの子とどうにかなってるのか?」
「あの子って?」
「ほら、お前んとこのクラークの宮野さんだよ」
「...どうして?」
「いや、昨日また彼女が発作起こして俺のとこに来たから。病棟で風見くんの手伝いしてる時に発作起こしたらしくて、彼が連れてきたよ」
...優茉が、発作を?
先週までは元気そうだったし、ちゃんと薬を飲んでいたよな?
「それで?彼女の様子は?」
「そこまで大きい発作ではなかったから、点滴して帰したよ。
でも、多分今回のは強いストレスが原因だろうな。何か思い詰めた顔してたし、本人も心当たりがありそうだったし。
だから、何か知らないかと思って。あのままだと、多分また同じ事になるよ」
...発作を起こすほどの、強いストレス?
俺のせいか...。優茉をそこまで苦しめていたなんて、気づいていなかった自分が情けなくて、腹が立つ。
「いや、俺にもわからない。でも、俺のせいかもしれない」
「え?じゃあやっぱり宮野さんと付き合ってたのか?」
「いや、今度ちゃんと話すよ。とにかく、教えてくれてありがとう」
それだけ言ってロッカー室をでた。
どうしても優茉の顔が見たくて、足早にナースステーションへと向かうがそこに彼女の姿はない。
たしか朝は居たはずだから、どこかへ行っているだけか?
ここで待つか、一旦医局に戻るか迷っていると、横から視線を感じた。
振り向くと天宮さんがこちらを見ていて、少し困ったような表情で遠慮がちに小声で話しかけてくる。
「あの...香月先生って、優茉ちゃんと何かあったんですか?」
「...どうして?」
「さっき、加賀美製薬の社長の娘という方が来て、また優茉ちゃんに話があるって連れ出して行ったんです」
......加賀美製薬の、社長の娘?
まさか、院長が言っていた見合い相手か...?
「え?またって? それに、どうしてそれで俺と宮野さんの関係が気になったの?」
「実は、先週だったかな?前にも一度ここに来たんです。その時も、優茉ちゃんに話があるって。香月先生の婚約者だって言えば分かるかしら?って彼女が言っていたので、どういう事なのか気になって...」
...そういう事か。
発作を起こすほどの強いストレス
やっぱり、俺のせいだ。
「それで?二人はどこに行った?」
「え?いえ、わかりません。でも、きっと周りに聞かれたくない内容だから、どこかひと気の無いところに行ったんじゃ...?」
「わかった、ありがとう」
「あっ、えっ? 香月先生⁈」
一刻も早く優茉を見つけないと。
気がつけば、人目も気にせず廊下を走り階段を駆け降りて、人があまり行かないような場所を探し回っていた。
ちょうど回診を終えたところでスマホが鳴り、でると救急外来からの応援要請だった。
脳外の外来に通院していた患者さんで、急に意識を失い倒れ運ばれてきたそう。
すぐに救急へと向かい、処置や検査を手伝うが、幸いオペは必要なさそうなので、このまま病棟にあげ経過観察となった。
スクラブが汚れたことに気がつき、医局に戻る前にロッカー室へ行き新しい物に着替える。
白衣を羽織ってちょうど俺が出ようとした時、扉が開いて結城が入ってきた。
「おう、香月お疲れ! これからか?」
「いや、救急の手伝いに行ってた。汚れたから着替えに来ただけだよ」
「なんか顔が疲れてるけど、ちゃんと家帰って寝てるのか?」
「まぁ、それなりにな」
「そうだ、ずっと気になってたんだよ。香月、あの子とどうにかなってるのか?」
「あの子って?」
「ほら、お前んとこのクラークの宮野さんだよ」
「...どうして?」
「いや、昨日また彼女が発作起こして俺のとこに来たから。病棟で風見くんの手伝いしてる時に発作起こしたらしくて、彼が連れてきたよ」
...優茉が、発作を?
先週までは元気そうだったし、ちゃんと薬を飲んでいたよな?
「それで?彼女の様子は?」
「そこまで大きい発作ではなかったから、点滴して帰したよ。
でも、多分今回のは強いストレスが原因だろうな。何か思い詰めた顔してたし、本人も心当たりがありそうだったし。
だから、何か知らないかと思って。あのままだと、多分また同じ事になるよ」
...発作を起こすほどの、強いストレス?
俺のせいか...。優茉をそこまで苦しめていたなんて、気づいていなかった自分が情けなくて、腹が立つ。
「いや、俺にもわからない。でも、俺のせいかもしれない」
「え?じゃあやっぱり宮野さんと付き合ってたのか?」
「いや、今度ちゃんと話すよ。とにかく、教えてくれてありがとう」
それだけ言ってロッカー室をでた。
どうしても優茉の顔が見たくて、足早にナースステーションへと向かうがそこに彼女の姿はない。
たしか朝は居たはずだから、どこかへ行っているだけか?
ここで待つか、一旦医局に戻るか迷っていると、横から視線を感じた。
振り向くと天宮さんがこちらを見ていて、少し困ったような表情で遠慮がちに小声で話しかけてくる。
「あの...香月先生って、優茉ちゃんと何かあったんですか?」
「...どうして?」
「さっき、加賀美製薬の社長の娘という方が来て、また優茉ちゃんに話があるって連れ出して行ったんです」
......加賀美製薬の、社長の娘?
まさか、院長が言っていた見合い相手か...?
「え?またって? それに、どうしてそれで俺と宮野さんの関係が気になったの?」
「実は、先週だったかな?前にも一度ここに来たんです。その時も、優茉ちゃんに話があるって。香月先生の婚約者だって言えば分かるかしら?って彼女が言っていたので、どういう事なのか気になって...」
...そういう事か。
発作を起こすほどの強いストレス
やっぱり、俺のせいだ。
「それで?二人はどこに行った?」
「え?いえ、わかりません。でも、きっと周りに聞かれたくない内容だから、どこかひと気の無いところに行ったんじゃ...?」
「わかった、ありがとう」
「あっ、えっ? 香月先生⁈」
一刻も早く優茉を見つけないと。
気がつけば、人目も気にせず廊下を走り階段を駆け降りて、人があまり行かないような場所を探し回っていた。