エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 月曜日を迎え、今朝は一段と冷え込みが強く、初めてリビングの暖房をつけた。

 まだ病み上がりだし冷たい空気は気管支の刺激にもなるから良くないと説得され、今朝は柊哉さんの車に乗せてもらい一緒に出勤してきた。

 あの後天宮さんにだけは、麗奈さんの件で心配をかけてしまったので、柊哉さんに許可をもらい事の顛末を話したけれど、他の人に一緒に出勤しているところを見られてはまずいと思ったので、地下駐車場で車を降り先にエレベーターに乗ってもらって、私は少し後から中に入った。

 柊哉さんは気にしなくていいのにと言っていたけれど、そういうわけにいかない...。

 前に天宮さんが言っていたように、きっと先生を狙っている人はたくさんいるはずだから。
 また麗奈さんの時のように敵意を向けられるのは勘弁して欲しい。


 相変わらず柊哉さんは忙しく、平日はあまりゆっくり話をする時間もないけれど、時間が合えば一緒に食事をしてハグをして眠る毎日はとても幸せ。

 木曜日の今日は、仕事が終わった後に結城先生の外来を予約してある。
 この前発作も起きたので、今は通院の間隔を二週間にして薬をもらい様子を見ている状態。

 仕事が終わり着替えを済ませてから外来まで行き、診察室のドアをノックして中に入ると、なぜかそこには白衣姿の柊哉さんがベッドに腰掛けている。

 「えっ⁈ せ、先生? どうして...」

 柊哉さんと結城先生の顔を交互に見ると「とりあえず座って?」と結城先生に言われ、私は患者さん用の椅子に腰掛ける。

 「優茉、前に話したと思うけど、結城は大学時代からの友人なんだ。だから結城には俺たちの事を話してある」

 「そ、そうでしたか。でも、どうして先生がここに...?」

 「香月が宮野さんの診察の時一緒に行っていいかって言うから、時間教えちゃったけどダメだった?」と、ちょっとニヤニヤしながら答える結城先生。

 「い、いえ。ちょっとびっくりしただけです」

 「俺は今日当直で帰れないから、優茉の顔が見たかったんだ。今の状態も知りたかったしね」
 
 「はいはい。一緒に来ていいとは言ったけど、惚気ていいとは言ってないぞ」
 
 結城先生がキッと柊哉さんのほうを睨むけれど、彼は肩をすくめて素知らぬ顔をしていて二人の仲の良さが伺えた。

 「ま、とりあえず始めようか。薬は忘れずに飲んでる?変わったところはない?」

 そのままの一通り診察されたけれど、ずっと柊哉さんがこっちを見ていて、なんだかとても恥ずかしかった...。

 「じゃあまた二週間後に予約入れておくから、忘れずにきてね」

 お礼を言って診察室を出ようとすると、彼も結城先生にサンキューと声をかけてから一緒に出てきた。

 外来の時間は終わっているので、廊下は薄暗く人はいない。
 柊哉さんに軽く背中を押されて、足早にどこかへ向かった。
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