元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
「ひな……」
「鷹也……! ダメよ。今は眠っているから起しても起きないわ。いつも朝の6時までぐっすりなの」

 ヒソヒソと杏子が教えてくれるが、暗がりでひなの顔を見ている俺には関係なかった。

 起すつもりはないのだ。ただ、ひなの顔を見たいだけだったから。

 俺の子。俺の娘。
 知らない間に生まれていた俺の……。

「……ゥック……ゥッ……」
「た、鷹也⁉」

 涙が溢れて止まらなかった。
 俺の子がこの世に誕生していたなんて。
 それがこんな可愛い、天使のような寝顔で存在するなんて。

 ずっと思っていた。杏子の娘が俺の子だったらって……。

 こんなところで泣いていたら、さすがにひなが起きてしまうかもしれない。

 杏子に促されて、俺はリビングに戻った。
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