元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
「ひ、ひな、お腹空いた?」
「うん。いちごジャムトーストがいい」
「わかった」

 私はゴソゴソと布団から抜け出した。

「おじちゃん、それ、だだのパジャマだよ」

 ひなが鷹也の着ているスエットを指して指摘する。

「だだのバジャマ貸してあげたのよ」
「ふーん……」

 ちゃんと説明するつもりだったのにこれはまずいな。

「ひな、この人は――」
「ひな、ごめんな。おじちゃんパジャマ持ってなくて、大輝くんのを借りてるんだ。ちゃんと大輝くんに返すから」
「……うん」

 そうか。ひなは大輝のパジャマを勝手に着ていると思ってるよね。

 鷹也が謝ったことでひなの機嫌は少し良くなった。

「ひな、おじちゃんを洗面所に連れて行ってあげて? ひなはタオルの場所知ってるよね? おじちゃんは知らないから教えてあげてね。お願いね?」
「うん。おじちゃんこっちだよ」

 この家の中で動き回るのはひな主導の方がいい。ここはひなの家であって、ひなのテリトリーなのだから。
 それにひなの保育園ではやってあげよう精神を大切にしている。ママに「お願いね」と言われたら応えなければいけない。
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