元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
 もう一度右側を見た。今度は夜景を見るのではなく、ガラスに映っている自身の姿を見るために。

「た、かや……?」

 暗いガラス窓に映った自分の姿に驚きを隠せない。
 私は思わず顔に手をやった。

 嘘だ。あり得ない。さっきまで自宅でどんぐり飴を食べていたのよ?
 そんな私が、どうして鷹也になっているの⁉

「ど、どうしたんですの? ちょっと、鷹也さん? そんなにお顔ばかり触って――」
「あ、あの!」
「……はい?」
「ちょっと…………トイレに」
「ど、どうぞ? 遠慮なさらずに――」
「し、失礼します!」
 
 立ち上がり、店を出てすぐのところにあるトイレに入る。
 鏡! 鏡!

「信じられない……」

 トイレの鏡には、鷹也がいた。






< 17 / 228 >

この作品をシェア

pagetop