元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
「あのっ、あの日祖母は幼馴染みと久しぶりに話したと言ってたんです。でもお祖父さまは亡くなられたと聞いて……」
「それは多分墓参りのことでしょう。ああ、ちょっと待って」

 そう言って、伯父さまは寺務所に入って行かれた。
 少しして古いアルバムを持ってこられた。

「これがうちの父です。かなり若いときですが……」

 そこには祖母が持っていた写真より30年くらい後のお祖父さまの写真があった。隣にいるのは鷹也のお祖母さまだろう。ふくよかで優しそうな方だ。

「父は私と違ってスラッと細く背の高い人でした。私は母に似たんでしょうね。光希は私にそっくりなんですが、鷹也が父にそっくりなんですよ」

 あ! 祖母の初恋の人の写真を見たときの既視感。あれは鷹也だったんだわ。
 今見せられている写真は鷹也が中年期に入った時を想像させる。
 
 伯父さまの話によると、鷹也のお祖母様は大きなお寺の娘で、お祖父様とは生まれた時からの許嫁の間柄だったらしい。

 祖母がこのお寺に一日参りをするようになったのは、意外にもお祖父さまが亡くなってからのことだったそうだ。

 お祖父さまが亡くなってから気落ちしていたお祖母さまを慰めたのが祖母だとか。それから二人は昔からの親友のように仲良くなったらしい。

 そのお祖母さまが亡くなってから、祖母はいつも一日参りに来ては、墓参りもしていたようだ。
 まるで親友に会いに行くかのように。
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