元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました

「墓参りをしているところを覗いたわけではないが、あの世から二人が下りてきて、本当に三人で会話していたのかもしれないな」

　そう言って伯父さんは微笑んだ。

　叔母から聞いた初恋の君の話にはこんな続きがあったのか。

　気落ちしている初恋の君の奥さんと親友になるなんて、世話焼きの祖母らしいわ。

　あの時、楽しそうに幼馴染と話したと言っていたのだから、お墓ではお祖父さまともお話をしたと言うことなのかな。
　今となってはわからないけれど。

「さっきのどんぐり飴の話だが、ひょっとしたら父の力じゃないかと思うんだ」
「父の力？」
「……杏子、長岡の家の直系には不思議な力があるんだ」
「不思議な力って……」

　なに？　超能力とか、魔力とかそういうの？
　
「一つは、いわゆる加護というものだ」

　加護？

「加護というのは、神仏がその力によって衆生を守り助けること。というのが一般の解釈だけど、そのままであってそのままではない時もあるんだ。我々の加護の力は直接ではなく何かしらの媒体を通すこともあるのだよ」
「……？」
「父さんそれじゃ分からないよ。和久井さん……いや、杏子ちゃん、長岡の直系には加護を与える力が宿るんだ。つまりここの御本尊である融通尊の御加護だ。今回のことに限って考えれば、静子さんと喋りに降りてきた祖父が、静子さんの持っていたどんぐり飴を通して加護を授けたんじゃないかと思う」