元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
『あ、でも悠太も食べたのよ? どんぐり飴』
『御加護は杏子に対してだけだからね。杏子が幸せになれるようにだけはたらくんだ』

 なるほど、そういうことか。
 
『まさか、お互いの孫同士が結婚するとはね……。二人も上で喜んでいるよ』

 私たちが出会ったのは偶然だったのだろうか?
 ひょっとして、一緒になれなかった祖母と光蔵さんの代わりだったり……。

 だとしても、私たちは愛し合っている。身代わりなんかじゃない。

 私と鷹也にも出会いから惹かれあうまでの、ちゃんと歴史があるのだから。

『こうやって過去の種明かしをすることはできるけど、未来については語れないんだよ』
『うん……? わかってるよ?』
『……とにかく言えることは……幸せにおなり』
『おばあちゃん……うん。幸せになるよ!』 

 祖母はホッとしたように頷いた。

『さ、そろそろいこうかね。この姿も最後だよ』
『え?』
『上ではじいさんも出会った頃の姿に戻っているらしい。ばあちゃんだけ皺くちゃはいやだよ。出会った頃の姿に戻ってじいさんの前に現れるつもりなんだ』

 そう言って、祖母はまたきれいなウインクをした。
 新婚時代に戻るのか。いいわね。

『おじいちゃんと、光蔵さん、一枝さんによろしくね』
『ああ。杏子……気をつけるんだよ』
『え……』

 すうっと、祖母が透けていく。

『おばあちゃん!』
『しあわせに……おなり…………』

 
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