元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました

　昨日のことは奇妙な出来事だったなぁ。
　思い返してみれば、あのおばさんが善い人じゃなかったら、本当に捕まっていたかもしれない。

「……せさん？　森勢さん？」
「え……」
「大丈夫ですか？」
「あ、はい……すみません。何か」
「お疲れですよね。まだ時差ボケが残っているのかしら？」
「いや……そんなことは」
「明日、金曜日なので森勢さんの歓迎会をしようかと。課長が森勢さんの予定を確認してくれと……」

　歓迎会？　課長が明日と決めたのなら、断れるわけないじゃないか。

「ありがとう。行かせてもらいます」
「良かった！」

　課長に宴会の幹事を任せられたのだろうか。
　推定で入社2年目くらいの女性社員が胸をなで下ろしているようだった。

　業務を円滑にするためには、飲み会もある程度仕方ない。

　人づきあいだと心得てはいるが、やっと日本に帰ってきたところだ。
　まだプライベートな時間が全く取れないでいた。

　できれば週末は一人で動きたかったのだが、仕方ないな……。

「あの……ロスでのお話、聞かせてくださいね」
「……」

　女性が目をキラキラさせながら耳に髪をかける。
　困ったな……。かなり面倒なことになりそうだ。
　俺は思わず大きなため息を吐きそうになったが、手を挙げて愛想笑いでごまかし、その場を立ち去った。


　◇　◇　◇