元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
「長岡のところは二人目が生まれたんだとよ」
「次は女だって? 順調で何よりだ」
「うちはまだ一人も生まれてないのに……」
「その目やめろ……」

 くそ親父の上目遣いなんて見たくもないんだよ。
 
 孫か……。
 1歳年上の従兄、長岡光希(ながおこうき)には3歳になる息子とつい先日生まれたばかりの娘がいる。

 長岡は母の実家で、光希は伯父、長岡光司(ながおかこうじ)の長男だ。
 そして伯父は父の親友でもある。

 父は親友の妹である母、長岡清香(ながおかきよか)と恋に落ちて結婚したのだ。

 森勢商事という大企業の後継でありながら恋愛結婚をしている父に、見合いを勧められるのは納得がいかない。

「悪いけど俺、結婚相手は自分で決める。今後一切見合いをする気はないから」
「……あてはあるのか?」
「……」
「父さんだって、お前に相手がいるなら無理に見合いを勧めるつもりはない。でもお前が誰かと付き合っていたのって学生時代の話だろう? 社会人になってから一度も聞かないんだが」
「海外研修に行っていたんだから仕方ないだろう?」
「金髪美女でも良かったんだがなぁ……ハーフの子供って可愛いじゃないか」
「……勘弁してくれ。まだ29歳なんだ。光希の結婚が早かっただけで、男が29歳で遅いって言われるのものな……。それより千鶴(ちづる)の方が先なんじゃないの? あいつもう27歳だし」

 矛先を妹の千鶴に向けてみる。
 実際、千鶴の方が女なんだからそろそろ結婚の話が出てもおかしくない。
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