元カレと再会ワンナイトで愛を孕んだので内緒の出産をしましたが入れ替わったらバレました
 なんなの、この人。なんでこんな人に見下げられなきゃならないの?
 
 建築において土方、つまり土木作業員はなくてはならない存在だ。

 日雇い労働者を雇うところもあるが、我が社では工務店などの下請け業者に依頼し、建築のプロとして入ってもらっている。

 私のことを蔑むことが目的で悪く言うのなら、百歩譲って勝手に言えばいい。

 でも工務店の人たちをこんな風に言うのは許せない。
 父の仕事を馬鹿にされているようなものだ。

 あの人達は、ひよっこの現場監督である私なんかとは比べものにならないくらい知識と経験が豊富な人たちなのだ。

 こんな風に言われるいわれはない。
 こんな人と話すことは何もない。

 ここに連れてこられたのだって無理矢理だったのだから。

「あなたとは価値観も違うし、話すことはありません。仮に鷹也とのことが本当だったとしても、それはあなたたちの問題。私と鷹也の問題は私たちで話し合います」

 そう言って、わたしはテーブルに2千円を置き、立ち去ろうとした。

 その時だった。
< 92 / 228 >

この作品をシェア

pagetop