愛の充電器がほしい
第12話
カランとグラスに大きめの氷が
当たる音が響いた。
麦焼酎の味が今日はあまり美味しく
感じない。
枝豆を頬張っては、居酒屋のメニュー表を
確認した。
がやがやと賑わっている。
週末はどこの居酒屋も混雑しているなと
ため息をついた。
隣に胸の大きい女性が座ってきた。
「佐々木さん!
何、しんみり飲んでるんですか。
あっちで、みんなで盛り上がってましたよ。
マジカルバナナって昔流行ったゲームで。」
「…へぇ。」
今日は、会社の仕事終わりに適当に
集まった飲み会だった。
佐々木拓海は、集団の中で過ごすのが苦手だ。
ある程度、なじんできたら、1人抜けて飲むことが
多かった。
「もう、ノリ悪いですね。」
ジョッキビールをグビッと飲んで、
大声でおかわりと叫んだ。
「飲みすぎじゃない?」
「いいんです。
たまには、これくらい飲まないと。」
「いつも飲まないっしょ。
無理すんなよ。」
「ひっく、それより、佐々木さんって
彼女いるんれすか?」
酔っ払いの対応になってきた。
呂律がまわってない。
「まぁ、いるよ。
たまにしか会ってないけどさ。」
塚本美咲《つかもとみさき》は、体をよせて
ガツガツ聞いてきた。
会社では最近入ってきた新人だったが、
飲み会では、人当たり良すぎて、ノリノリだった。
「えー、普通、彼女なら、
毎日会いたいと思いません?
なんなら、一緒に住んじゃいたいとか。」
「んー、同棲はしてないけどな。
別にいいじゃん。俺のことは。」
ぐいーと近づいてくる体をよけた。
「えー、気になります。
私、毎日、佐々木さんに会えて
超うれしいって思いますし。
聞いちゃだめですか?」
猫のように上目遣いで近づく。
「はいはい。そんなんで、俺は落ちません。
よそ当たってください。」
また、ぐいーと体をおしのけた。
「えー-、ひどい。
今の勇気振り絞って告白したのに…。
だって、彼女と全然会ってないなら、
いいじゃないですか。
ワンナイトでも、
私は佐々木さんならいいですよ。」
「……そういうの、ほかの男の人にも
言ってるんでしょう。」
「…………。」
美咲は、じっとだんまりになって、
持っていたグラスを持って、一気飲みした。
機嫌を損ねたのか、同僚たちが集まる席に
戻って行った。
(本気だったのか?
……まぁ、いいや。関係ないし。)
拓海はその言動を後悔することとなる。
しばらくして…。
「佐々木ぃ、そろそろ解散するけど…。」
「え、あ、はい。
会計しておきますね。
って、帰れない感じですか。」
部長が、帰る準備をし始めて、
他の社員も帰ろうとしたところ、
テーブルに体を身を任せて、
うなだれている人がいた。
「美咲ちゃん、かなりお酒飲んでたみたいよ。
梅酒ロックとか、度数濃いショットとか
ガブガブ飲んでたから、やめろって言っても
聞かないし…。」
隣で介抱していた大友が教えてくれた。
「わかった。
俺が何とかしておくわ。
先帰っていいぞ。」
「マジっすか。
すいません、お願いします。」
拓海と美咲以外は早々とお店から
出て、それぞれの家に帰って行った。
残された2人がぽつんとテーブルに残る。
自分のグラスを美咲の隣に
移動させては、落ち着くのを
じっと待ってみた。
「ひっく、ひっく。
どーせ、私は、尻軽女ですよーだ。
見た目だけでいつも判断されて…。」
目をつぶり、ぶちぶちと愚痴っている。
ふと見ると目から涙がこぼれ落ちている。
さっきの発言はまずかったなと
指で涙を拭ってやった。
パシッと、拓海の腕をつかまれた。
正気に戻って起きたのかと思ったが…。
「温かい…。」
腕をハグされた。
寝ぼけているようだ。
女子は本当に面倒で大変だとため息をつく。
彼女を会わない理由は変に絡みを増やして、
面倒くさいことに巻き込まれたくないからだ。
勘違いされては困るとそっと、腕を離しては
自分のお酒を飲み直した。
「お客様…。そろそろラストオーダーですが、
何かご注文ございますか?」
「…あ、すいません。
そしたら、お冷を2つお願いします。」
「かしこまりました。」
拓海は、店員が来て、一瞬緊張したが、
深呼吸をしては落ち着かせた。
「…あ、れれれ…。隣に知らない人いる~。」
寝ながら、指をさして笑っている。
「嘘だろ。」
「知ってるよぉ。
佐々木さんでしょう。」
むくっと体を起こした。
首を左右に振ってはあたりを見渡した。
「れれれ…誰もいない。
もう帰っちゃった?」
「ああ。」
「お待たせしました。
お冷2つお持ちしました。」
「あ、ありがとうございます。」
拓海は、グラスを自分の前と
美咲の前に置いた。
「飲んでいいの?」
「どうぞ。」
「いただきます。」
ぶーっと吹いた。
お酒だと思い込んでいた美咲は
思わず吹いてしまった。
「バカ、何してんだよ。」
近くにあったおしぼりで拭いた。
「へへへ…。焼酎だと思ってた。」
「…もう、お前、酒飲むなよ。」
「…はい。そうします。」
しゅんと落ち込む美咲。
ガンと頭をテーブルに押し付けて泣く。
「ねぇ、どうして、私じゃダメなんですか?」
「え? あれ、本気だったの?」
「…本気ですょー-。」
涙が滝のように流れている。
新しいおしぼりでゴシゴシ拭き始めた。
「私はテーブルじゃない!」
「悪い悪い。」
「わかった、考えておく。」
「それ絶対振られる5秒前だし!!」
発狂しはじめる。
静まらせたかった拓海は、
イライラして、思わず、
口で口を塞いだ。
一瞬して、騒がしかった
美咲は凪のように静かになった。
「ほら、外出るぞ。」
「あ、……はい。」
突然、借りて来た猫のように
おとなしくなる美咲。
酔いが一気に冷めたようだ。
2人はそのまま繁華街に姿を消した。
当たる音が響いた。
麦焼酎の味が今日はあまり美味しく
感じない。
枝豆を頬張っては、居酒屋のメニュー表を
確認した。
がやがやと賑わっている。
週末はどこの居酒屋も混雑しているなと
ため息をついた。
隣に胸の大きい女性が座ってきた。
「佐々木さん!
何、しんみり飲んでるんですか。
あっちで、みんなで盛り上がってましたよ。
マジカルバナナって昔流行ったゲームで。」
「…へぇ。」
今日は、会社の仕事終わりに適当に
集まった飲み会だった。
佐々木拓海は、集団の中で過ごすのが苦手だ。
ある程度、なじんできたら、1人抜けて飲むことが
多かった。
「もう、ノリ悪いですね。」
ジョッキビールをグビッと飲んで、
大声でおかわりと叫んだ。
「飲みすぎじゃない?」
「いいんです。
たまには、これくらい飲まないと。」
「いつも飲まないっしょ。
無理すんなよ。」
「ひっく、それより、佐々木さんって
彼女いるんれすか?」
酔っ払いの対応になってきた。
呂律がまわってない。
「まぁ、いるよ。
たまにしか会ってないけどさ。」
塚本美咲《つかもとみさき》は、体をよせて
ガツガツ聞いてきた。
会社では最近入ってきた新人だったが、
飲み会では、人当たり良すぎて、ノリノリだった。
「えー、普通、彼女なら、
毎日会いたいと思いません?
なんなら、一緒に住んじゃいたいとか。」
「んー、同棲はしてないけどな。
別にいいじゃん。俺のことは。」
ぐいーと近づいてくる体をよけた。
「えー、気になります。
私、毎日、佐々木さんに会えて
超うれしいって思いますし。
聞いちゃだめですか?」
猫のように上目遣いで近づく。
「はいはい。そんなんで、俺は落ちません。
よそ当たってください。」
また、ぐいーと体をおしのけた。
「えー-、ひどい。
今の勇気振り絞って告白したのに…。
だって、彼女と全然会ってないなら、
いいじゃないですか。
ワンナイトでも、
私は佐々木さんならいいですよ。」
「……そういうの、ほかの男の人にも
言ってるんでしょう。」
「…………。」
美咲は、じっとだんまりになって、
持っていたグラスを持って、一気飲みした。
機嫌を損ねたのか、同僚たちが集まる席に
戻って行った。
(本気だったのか?
……まぁ、いいや。関係ないし。)
拓海はその言動を後悔することとなる。
しばらくして…。
「佐々木ぃ、そろそろ解散するけど…。」
「え、あ、はい。
会計しておきますね。
って、帰れない感じですか。」
部長が、帰る準備をし始めて、
他の社員も帰ろうとしたところ、
テーブルに体を身を任せて、
うなだれている人がいた。
「美咲ちゃん、かなりお酒飲んでたみたいよ。
梅酒ロックとか、度数濃いショットとか
ガブガブ飲んでたから、やめろって言っても
聞かないし…。」
隣で介抱していた大友が教えてくれた。
「わかった。
俺が何とかしておくわ。
先帰っていいぞ。」
「マジっすか。
すいません、お願いします。」
拓海と美咲以外は早々とお店から
出て、それぞれの家に帰って行った。
残された2人がぽつんとテーブルに残る。
自分のグラスを美咲の隣に
移動させては、落ち着くのを
じっと待ってみた。
「ひっく、ひっく。
どーせ、私は、尻軽女ですよーだ。
見た目だけでいつも判断されて…。」
目をつぶり、ぶちぶちと愚痴っている。
ふと見ると目から涙がこぼれ落ちている。
さっきの発言はまずかったなと
指で涙を拭ってやった。
パシッと、拓海の腕をつかまれた。
正気に戻って起きたのかと思ったが…。
「温かい…。」
腕をハグされた。
寝ぼけているようだ。
女子は本当に面倒で大変だとため息をつく。
彼女を会わない理由は変に絡みを増やして、
面倒くさいことに巻き込まれたくないからだ。
勘違いされては困るとそっと、腕を離しては
自分のお酒を飲み直した。
「お客様…。そろそろラストオーダーですが、
何かご注文ございますか?」
「…あ、すいません。
そしたら、お冷を2つお願いします。」
「かしこまりました。」
拓海は、店員が来て、一瞬緊張したが、
深呼吸をしては落ち着かせた。
「…あ、れれれ…。隣に知らない人いる~。」
寝ながら、指をさして笑っている。
「嘘だろ。」
「知ってるよぉ。
佐々木さんでしょう。」
むくっと体を起こした。
首を左右に振ってはあたりを見渡した。
「れれれ…誰もいない。
もう帰っちゃった?」
「ああ。」
「お待たせしました。
お冷2つお持ちしました。」
「あ、ありがとうございます。」
拓海は、グラスを自分の前と
美咲の前に置いた。
「飲んでいいの?」
「どうぞ。」
「いただきます。」
ぶーっと吹いた。
お酒だと思い込んでいた美咲は
思わず吹いてしまった。
「バカ、何してんだよ。」
近くにあったおしぼりで拭いた。
「へへへ…。焼酎だと思ってた。」
「…もう、お前、酒飲むなよ。」
「…はい。そうします。」
しゅんと落ち込む美咲。
ガンと頭をテーブルに押し付けて泣く。
「ねぇ、どうして、私じゃダメなんですか?」
「え? あれ、本気だったの?」
「…本気ですょー-。」
涙が滝のように流れている。
新しいおしぼりでゴシゴシ拭き始めた。
「私はテーブルじゃない!」
「悪い悪い。」
「わかった、考えておく。」
「それ絶対振られる5秒前だし!!」
発狂しはじめる。
静まらせたかった拓海は、
イライラして、思わず、
口で口を塞いだ。
一瞬して、騒がしかった
美咲は凪のように静かになった。
「ほら、外出るぞ。」
「あ、……はい。」
突然、借りて来た猫のように
おとなしくなる美咲。
酔いが一気に冷めたようだ。
2人はそのまま繁華街に姿を消した。