愛の充電器がほしい
第22話
ショッピングモールの
通路の真ん中で
ペタンと膝を曲げて座る紬の隣に
颯太がいた。
そして、
さらにその近くでは、
美羽と拓海が並んで駆け寄った。
「あ、デートかな…。」
颯太は自信なさそうに小声で言う。
「違う違う、たまたま会っただけ。」
「な!?」
(気づかれないように
後ろ着いて来たに
決まってるだろって。
偶然じゃないのに。)
拓海はデートのつもりでいた。
美羽は絶対違うと手をぶんぶんとふる。
「いや、もうどっちでもいいんだけどさ。
ほら、美羽、立ち上がって。」
嘘泣きだと気づいた颯太は、
紬の腕をつかんでは
体を起こした。
ばれたと気づいた紬は舌をペロッと出した。
立ち上がってすぐに紬は、
美羽の腕をつかむ。
「私、このおねえちゃんと買い物したい!
パパはいや。」
「え?!」
美羽は突然のことで目を丸くする。
拓海の背後には想像も絶するような
炎が沸き上がってるように見える。
「いや、紬。
邪魔しちゃいけないって。」
「そうだよ。
俺たちの邪魔するなって。」
拓海が思わず本音が出る。
颯太は冷や汗をかく。
前会った時とは事情が違う。
紬がいることで勝てる気がしないと
気弱だった。
「やだ!!
ぜったいやだ。やだやだやだ。」
紬は見たこともないくらい駄々をこねる。
さすがにその様子を見た拓海でさえも
後退するくらいだ。
「わかった。
いいよ、一緒に買い物しよう。
何が欲しいの?」
タジタジになる美羽は、紬の要望をのむ。
「私、学校に着ていく新しい服が欲しい。
パパの選ぶ服は地味な色ばかりで
私の希望の色を選んでくれないから!!」
「って、おい。
選ぶの面倒だから
任せたんじゃなかったのか?!
話が違うぞ。」
「よし、行こう。
あっちの方かな。」
美羽は颯太の言葉を無視して、
紬と一緒に洋服屋を探した。
一見よくわからないメンバーでの
買い物となった。
拓海も帰るタイミングを失って、
結局、一緒に買い物に付き合うこととなる。
後頭部に両手を乗せて
歩きながら
「女子の対応って本当大変っすよね。」
颯太にボソッと言う。
颯太はなぜか同感してしまう。
「確かにな…。」
ため息が出た。
手をつなぎながら、
うれしそうにあっちこっちと
服を選ぶ紬の姿を見て
ほほえましかった。
がっつり買い物を終えて、
男性陣は大きな袋の荷物持ちとなっていた。
最後には、ゲームセンターで遊ぶことになる。
UFOキャッチャーで
お気に入りのぬいぐるみを見つけては、
拓海も本気になって
集中して何度も挑戦した。
結局のところ、
3000円くらい両替して
全部使い果たした頃にようやく
大きなぬいぐるみを取ることができた。
誰に渡すかと思ったら、
気を使って、紬に手渡していた。
紬は、白いふわふわのぬいぐるみ
ぎゅーと抱っこして
喜んでいた。
「珍しい。
取ってあげてる…。」
「小さい子には優しくだろ。」
「私にはないんだ?」
「欲しいの?!」
拓海はまたお札を何枚も両替しては、
UFOキャッチャーで
もう一つ取ろうとしたが、いくらかけても
美羽のためのぬいぐるみは取れなかった。
遠くで、
お菓子コーナーの
チョコレートの
UFOキャッチャーをしていた
颯太が、数百円で
2箱取ることができて
ドヤ顔をしながら
美羽と紬に渡していた。
メラメラと拓海は目を燃やして
イライラしていた。
(ちくしょう…。)
2人は大層喜んでいた。
「ありがとう。」
「まぐれだよ。
でも、2つも取れてよかったね。」
「パパ、すごいじゃん。」
「そお?」
「そうそう、運だから。
これは。」
拓海は悔しそうに
隣のお菓子を
取ろうとしたら
全然取れずに悔しがった。
「そろそろ、帰るか。」
颯太が紬の様子を見て、言った。
目をこすり始めていた。
眠くなってきたようだ。
「そっか。
紬ちゃん、楽しかった?」
美羽は、目線を合わせてかがんで聞いた。
「うん。
たくさん服も買えたし、
ぬいぐるみとお菓子も取れたから。
大満足だよぉ。」
「そっか、よかったね。」
「おねえちゃん、ありがとう。
それと…。」
紬は、つつつっと拓海の隣に行っては
顔を近づけてと指示を出す。
「ん?」
拓海は、ズボンのポケットに
両手をつっこんでは、
紬の顔に自分の顔を近づけた。
耳打ちで
「おにいちゃん、ありがとう。
ぬいぐるみ大事にするね!」
「お、おう。」
少し頬を赤くしては
うれしかったようで
ご機嫌になる。
颯太と紬、美羽と拓海は
それぞれに別れを告げては
別な方向に歩いていく。
行きかう人々の合間をすり抜けては、
ショッピングモールの通路を進んで行く。
美羽は少し不満顔になっていた。
「ねぇ、なんで、
私、拓海とこっち来ないと
いけないの?」
「え、だって、
買い物途中だったろ?
俺ら。」
「え、別に買うものないよ?
自然の流れでこっち来ちゃったけど、
拓海、1人で帰ってもらっていい?
私、あっち行くから。」
振り向いて、後ろに行こうとする美羽の腕を
拓海は、つかんだ。
「待てよ。
そしたら、最後でいいから
今日くらい一緒にいてくれよ。
頼むから。」
美羽の腕の力が弱まった。
「最後って…。
前から言ってるけど、私たち、
もう付き合ってないよ。
自由にさして。」
不意打ちに拓海は美羽の体を抱きしめた。
「もう、言わないから。
今日だけでいいから。」
美羽は、はねのけようとした手をおろした。
拒否することをあきらめた。
颯太の方に行ってしまう
美羽をどうしても止めたかった。
本当にこれが最後なら、
受け入れてあげよう。
罪悪感がまだ抜けきらない
申し訳ない気持ちが
償えるような気がした。
本音を隠しては、
拓海の家に一緒に帰ることにした。
これまで我慢していたであろう
気持ちをこれでもかというような
拓海は、玄関のドアを開けては
すぐに
頭の先からつま先まですべての
美羽を感じるように一方的に愛した。
充電は満たされないまま
ただただやり過ごした。
これで最後これで最後と言い聞かせるように
美羽は将軍を相手する大奥の気持ちが
わかった気がした。
ベッドの上で
ただ一人眠れず夜を過ごしては
窓の外をずっと見続けた。
やっぱりリスクは無くても
拓海とは一緒にいられない。
横でいびきをかいている拓海を
そっと起こさないようにしては
すぐに着替えて
音を静かに部屋を出た。
ミッションは完了した。
美羽はすぐにでも
行きたいところがあった。
パンプスの靴擦れが
あっても気にならない。
気持ちが焦る。
歩行者用信号が青になるのが待ち遠しかった。
信号のカッコウの鳴き声の音が鳴り響く。
花壇の近くでうろうろしていた3羽の鳩が
バサバサと飛び立っていく。
通路の真ん中で
ペタンと膝を曲げて座る紬の隣に
颯太がいた。
そして、
さらにその近くでは、
美羽と拓海が並んで駆け寄った。
「あ、デートかな…。」
颯太は自信なさそうに小声で言う。
「違う違う、たまたま会っただけ。」
「な!?」
(気づかれないように
後ろ着いて来たに
決まってるだろって。
偶然じゃないのに。)
拓海はデートのつもりでいた。
美羽は絶対違うと手をぶんぶんとふる。
「いや、もうどっちでもいいんだけどさ。
ほら、美羽、立ち上がって。」
嘘泣きだと気づいた颯太は、
紬の腕をつかんでは
体を起こした。
ばれたと気づいた紬は舌をペロッと出した。
立ち上がってすぐに紬は、
美羽の腕をつかむ。
「私、このおねえちゃんと買い物したい!
パパはいや。」
「え?!」
美羽は突然のことで目を丸くする。
拓海の背後には想像も絶するような
炎が沸き上がってるように見える。
「いや、紬。
邪魔しちゃいけないって。」
「そうだよ。
俺たちの邪魔するなって。」
拓海が思わず本音が出る。
颯太は冷や汗をかく。
前会った時とは事情が違う。
紬がいることで勝てる気がしないと
気弱だった。
「やだ!!
ぜったいやだ。やだやだやだ。」
紬は見たこともないくらい駄々をこねる。
さすがにその様子を見た拓海でさえも
後退するくらいだ。
「わかった。
いいよ、一緒に買い物しよう。
何が欲しいの?」
タジタジになる美羽は、紬の要望をのむ。
「私、学校に着ていく新しい服が欲しい。
パパの選ぶ服は地味な色ばかりで
私の希望の色を選んでくれないから!!」
「って、おい。
選ぶの面倒だから
任せたんじゃなかったのか?!
話が違うぞ。」
「よし、行こう。
あっちの方かな。」
美羽は颯太の言葉を無視して、
紬と一緒に洋服屋を探した。
一見よくわからないメンバーでの
買い物となった。
拓海も帰るタイミングを失って、
結局、一緒に買い物に付き合うこととなる。
後頭部に両手を乗せて
歩きながら
「女子の対応って本当大変っすよね。」
颯太にボソッと言う。
颯太はなぜか同感してしまう。
「確かにな…。」
ため息が出た。
手をつなぎながら、
うれしそうにあっちこっちと
服を選ぶ紬の姿を見て
ほほえましかった。
がっつり買い物を終えて、
男性陣は大きな袋の荷物持ちとなっていた。
最後には、ゲームセンターで遊ぶことになる。
UFOキャッチャーで
お気に入りのぬいぐるみを見つけては、
拓海も本気になって
集中して何度も挑戦した。
結局のところ、
3000円くらい両替して
全部使い果たした頃にようやく
大きなぬいぐるみを取ることができた。
誰に渡すかと思ったら、
気を使って、紬に手渡していた。
紬は、白いふわふわのぬいぐるみ
ぎゅーと抱っこして
喜んでいた。
「珍しい。
取ってあげてる…。」
「小さい子には優しくだろ。」
「私にはないんだ?」
「欲しいの?!」
拓海はまたお札を何枚も両替しては、
UFOキャッチャーで
もう一つ取ろうとしたが、いくらかけても
美羽のためのぬいぐるみは取れなかった。
遠くで、
お菓子コーナーの
チョコレートの
UFOキャッチャーをしていた
颯太が、数百円で
2箱取ることができて
ドヤ顔をしながら
美羽と紬に渡していた。
メラメラと拓海は目を燃やして
イライラしていた。
(ちくしょう…。)
2人は大層喜んでいた。
「ありがとう。」
「まぐれだよ。
でも、2つも取れてよかったね。」
「パパ、すごいじゃん。」
「そお?」
「そうそう、運だから。
これは。」
拓海は悔しそうに
隣のお菓子を
取ろうとしたら
全然取れずに悔しがった。
「そろそろ、帰るか。」
颯太が紬の様子を見て、言った。
目をこすり始めていた。
眠くなってきたようだ。
「そっか。
紬ちゃん、楽しかった?」
美羽は、目線を合わせてかがんで聞いた。
「うん。
たくさん服も買えたし、
ぬいぐるみとお菓子も取れたから。
大満足だよぉ。」
「そっか、よかったね。」
「おねえちゃん、ありがとう。
それと…。」
紬は、つつつっと拓海の隣に行っては
顔を近づけてと指示を出す。
「ん?」
拓海は、ズボンのポケットに
両手をつっこんでは、
紬の顔に自分の顔を近づけた。
耳打ちで
「おにいちゃん、ありがとう。
ぬいぐるみ大事にするね!」
「お、おう。」
少し頬を赤くしては
うれしかったようで
ご機嫌になる。
颯太と紬、美羽と拓海は
それぞれに別れを告げては
別な方向に歩いていく。
行きかう人々の合間をすり抜けては、
ショッピングモールの通路を進んで行く。
美羽は少し不満顔になっていた。
「ねぇ、なんで、
私、拓海とこっち来ないと
いけないの?」
「え、だって、
買い物途中だったろ?
俺ら。」
「え、別に買うものないよ?
自然の流れでこっち来ちゃったけど、
拓海、1人で帰ってもらっていい?
私、あっち行くから。」
振り向いて、後ろに行こうとする美羽の腕を
拓海は、つかんだ。
「待てよ。
そしたら、最後でいいから
今日くらい一緒にいてくれよ。
頼むから。」
美羽の腕の力が弱まった。
「最後って…。
前から言ってるけど、私たち、
もう付き合ってないよ。
自由にさして。」
不意打ちに拓海は美羽の体を抱きしめた。
「もう、言わないから。
今日だけでいいから。」
美羽は、はねのけようとした手をおろした。
拒否することをあきらめた。
颯太の方に行ってしまう
美羽をどうしても止めたかった。
本当にこれが最後なら、
受け入れてあげよう。
罪悪感がまだ抜けきらない
申し訳ない気持ちが
償えるような気がした。
本音を隠しては、
拓海の家に一緒に帰ることにした。
これまで我慢していたであろう
気持ちをこれでもかというような
拓海は、玄関のドアを開けては
すぐに
頭の先からつま先まですべての
美羽を感じるように一方的に愛した。
充電は満たされないまま
ただただやり過ごした。
これで最後これで最後と言い聞かせるように
美羽は将軍を相手する大奥の気持ちが
わかった気がした。
ベッドの上で
ただ一人眠れず夜を過ごしては
窓の外をずっと見続けた。
やっぱりリスクは無くても
拓海とは一緒にいられない。
横でいびきをかいている拓海を
そっと起こさないようにしては
すぐに着替えて
音を静かに部屋を出た。
ミッションは完了した。
美羽はすぐにでも
行きたいところがあった。
パンプスの靴擦れが
あっても気にならない。
気持ちが焦る。
歩行者用信号が青になるのが待ち遠しかった。
信号のカッコウの鳴き声の音が鳴り響く。
花壇の近くでうろうろしていた3羽の鳩が
バサバサと飛び立っていく。