愛の充電器がほしい
第25話
目の下にクマを作って
出勤していた。
「楠…大丈夫か?」
五十嵐部長は
心配そうに声をかけた。
「部長、おはようございます。
今朝はからすがたくさん
飛んでましたね。」
「何、棒読みで言ってるんだよ。
からす?そうでもなかったよ。
なあ、顔がヤバいぞ。
無理せず休んだ方いいんじゃないか?」
「え?
俺はいつも通りっすよ。
来週までにやらないといけない
仕事がたまってますから。」
言葉と体が伴ってない。
颯太は体をフラフラさせながら
自分のデスクに座った。
座るとすぐに肩に手を置かれた。
「楠、プライベートのことで
環境変わって
対応しきれてないんじゃないか?」
「余裕でその通りです。」
「今日飲みに行けるか?
あ、でも娘さんが…。」
「いや、どうにかします。
ぜひ、飲みにお願いします。」
部長に飲みに誘われて
俄然やる気になる颯太。
仕事終わりの予定を立てる。
放課後児童クラブは午後7時まで
だが、そのあとは誰かに頼むしかない。
拍子抜けした顔をした。
「あ、そう。
わかった。」
「部長、すいません。
一度、家に帰ってからでも
いいですよね?
用事が済んだら
すぐ行きますから。」
「ああ、いいぞ。」
五十嵐部長は
自分のデスクに戻っていく。
会社の付き合いも
大事な仕事のうちと
言い聞かせて
目の前の仕事に集中した。
ーーー
「紬ちゃん、
今日も早くに
宿題終わらせてましたよ。」
放課後児童クラブの先生が
声をかけてくれた。
「そうなんですね。
いつもありがとうございます。
ほら、紬、帰るぞ。」
ロッカーの中からランドセルを
とって、背負った。
紬は何言わずに颯太を追い抜いては
施設の外に向かう。
昨日、美羽を黙って帰らせたことに
ずっと怒っていた。
家までの帰り道、電灯の下を
通った時に話しかけた。
数メートルの距離があった。
「紬?
あのさ、今日会社の人との
飲み会があるからさ
大家さんのおばちゃんのところで
待っててくれるかな。
ゲーム機持って行ってもいいから。」
「別にいいけど…。」
後ろ向きのまま、返事をして
スタスタと進んでいく。
あっさり返事をしてくれて
颯太は予想と違うことに
目を丸くした。
「あ、うん。
なるべく早く帰るから
よろしく。」
時々どうしても
抜け出せない用事がある時は
ご近所の大家さんに
お願いすることがあった。
孫がいるみたいで楽しいと
すごく喜んで引き受けてくれた。
今流行りのゲームにも
すすんで相手してくれる大家さんには
感謝しかない。
老眼がひどいと眼鏡をしてでも
やってくれる。
母親が生きていたら
祖母として
そんな対応をしてくれたのだろうかと
考える。
颯太は家に着いて、
紬に必要な荷物をあずけて
隣の部屋の大家さんに
お願いした。
紬はあることを
企んでいた。
平然と大家さんの家で過ごすかと
思っていたが
にやりと笑っていた。
頭に疑問符を浮かべながら
颯太は五十嵐部長が待つ
居酒屋に向かった。
乱れたネクタイを締め直した。
飲みに行くのは2ヶ月ぶりだった。
朝のやる気は全然なかったが、
飲みに行けると思うと
足取りは軽かった。
出勤していた。
「楠…大丈夫か?」
五十嵐部長は
心配そうに声をかけた。
「部長、おはようございます。
今朝はからすがたくさん
飛んでましたね。」
「何、棒読みで言ってるんだよ。
からす?そうでもなかったよ。
なあ、顔がヤバいぞ。
無理せず休んだ方いいんじゃないか?」
「え?
俺はいつも通りっすよ。
来週までにやらないといけない
仕事がたまってますから。」
言葉と体が伴ってない。
颯太は体をフラフラさせながら
自分のデスクに座った。
座るとすぐに肩に手を置かれた。
「楠、プライベートのことで
環境変わって
対応しきれてないんじゃないか?」
「余裕でその通りです。」
「今日飲みに行けるか?
あ、でも娘さんが…。」
「いや、どうにかします。
ぜひ、飲みにお願いします。」
部長に飲みに誘われて
俄然やる気になる颯太。
仕事終わりの予定を立てる。
放課後児童クラブは午後7時まで
だが、そのあとは誰かに頼むしかない。
拍子抜けした顔をした。
「あ、そう。
わかった。」
「部長、すいません。
一度、家に帰ってからでも
いいですよね?
用事が済んだら
すぐ行きますから。」
「ああ、いいぞ。」
五十嵐部長は
自分のデスクに戻っていく。
会社の付き合いも
大事な仕事のうちと
言い聞かせて
目の前の仕事に集中した。
ーーー
「紬ちゃん、
今日も早くに
宿題終わらせてましたよ。」
放課後児童クラブの先生が
声をかけてくれた。
「そうなんですね。
いつもありがとうございます。
ほら、紬、帰るぞ。」
ロッカーの中からランドセルを
とって、背負った。
紬は何言わずに颯太を追い抜いては
施設の外に向かう。
昨日、美羽を黙って帰らせたことに
ずっと怒っていた。
家までの帰り道、電灯の下を
通った時に話しかけた。
数メートルの距離があった。
「紬?
あのさ、今日会社の人との
飲み会があるからさ
大家さんのおばちゃんのところで
待っててくれるかな。
ゲーム機持って行ってもいいから。」
「別にいいけど…。」
後ろ向きのまま、返事をして
スタスタと進んでいく。
あっさり返事をしてくれて
颯太は予想と違うことに
目を丸くした。
「あ、うん。
なるべく早く帰るから
よろしく。」
時々どうしても
抜け出せない用事がある時は
ご近所の大家さんに
お願いすることがあった。
孫がいるみたいで楽しいと
すごく喜んで引き受けてくれた。
今流行りのゲームにも
すすんで相手してくれる大家さんには
感謝しかない。
老眼がひどいと眼鏡をしてでも
やってくれる。
母親が生きていたら
祖母として
そんな対応をしてくれたのだろうかと
考える。
颯太は家に着いて、
紬に必要な荷物をあずけて
隣の部屋の大家さんに
お願いした。
紬はあることを
企んでいた。
平然と大家さんの家で過ごすかと
思っていたが
にやりと笑っていた。
頭に疑問符を浮かべながら
颯太は五十嵐部長が待つ
居酒屋に向かった。
乱れたネクタイを締め直した。
飲みに行くのは2ヶ月ぶりだった。
朝のやる気は全然なかったが、
飲みに行けると思うと
足取りは軽かった。