愛の充電器がほしい
第57話
窓からベッドに日差しが
差し込んだ。
眩しくて
腕で目を塞いだ。
華奢な体つきの紬の
体は白かった。
左隣から
目が覚めた紬を見て、
彼はぎゅっとハグをした。
素肌と素肌がくっついて
温かかった。
季節は冬。
遭難した時は人間裸同士で
密着する方がいいとかある。
特に遭難してるわけじゃなく、
普通に暖房がついてる部屋の中である。
それでも
人恋しくて密着したくなるのだろう。
どうして
こういう状況になったか。
入社してちょうど9ヶ月は経った。
会社の忘年会に参加することになり、
今までお酒を飲み交わしたことの
なかった紬は飲みすぎて
記憶が飛び、
自分が自分ではないくらいに
はっちゃけてしまった。
決まって、
最後まで酔っ払いの相手をするのは
優しさゆえの拓海だった。
会社の愚痴から始まって、
一人暮らしをしたくてもできないとぼやき、
目がとろんとし始まった時に
告白してしまう大胆な発言も
繰り広げていた。
意識が一瞬戻って、
何か変なこと言ってると
慌てて
「すいません、酔っ払って
変なこと言いました。
今の忘れてください!」
「…その話、忘られないんだけど。
言うなら俺から言えば良かったな。
言わせちゃったよ。」
「え、それってどう言う意味ですか?」
「俺も気になってたから君のこと。
入社して来た時から
知り合いの娘って知ってたんだけど
手出しちゃダメだって思っても
気持ちは変えられないもんなんだよな。
いい年して、みっともない。」
「みっともなくなんて、ないです。
気持ちに素直に生きるの
大事じゃないですか!」
「だって、俺でいいの?
お母さんと同い年だよ?
おじさんだよ?」
「私、年齢で決めないです。
と言っても、初めてなんですけどね
男性とお付き合いするの。
何か運命的な感じするんです。
ビビッと来たって言うか…。」
「ビビッとねぇ…。
もしかして、
初めて会った時からってこと?」
「え?
初めて…?」
「覚えてないかもしれないけど、
君のお母さんと一緒にデートしてた時に
何故か君も一緒にいてさ、
ゲーセンで遊んだんだよ。
それで俺がふわふわの大きいぬいぐるみ
取ってあげたんだよ。」
「えー、あー、あの時の
お兄ちゃん?!
ゲーセンで大きいぬいぐるみ
取ってもらうのって
あの時くらいで何回行っても
取れなかったんだよ。
今でも大事にしてます。
クマのぬいぐるみ。
その時と比べたら、
おじさん化しましたねぇ。」
「お、おじさん。
そりゃあね、長く生きてますから。」
「私はおじさんでも
いいですよ。
小さい時に
拓海さん、カッコイイって
思ってましたから。
まさか、会えるなんて
思ってなかったです。」
グラスに入った氷が楽器のように
響いた。
拓海は心を射抜かれた。
満面の笑みでこちらを見ている。
大人になった紬と
子どもの時の紬を頭の中で
思い出す。
あの瞬間に
あの関係で会わなければ
今の自分の気持ちには
ならなかったのかもしれない。
紬は腕時計を見た。
現実に一気に戻された。
「あ、終電、行っちゃった。」
「…いいよ。
ウチ来ればいいじゃん。
コタツあるよ。あと、みかんあるよ。
ペットはいないけど、
猫のフィギュアなら飾ってるよ。」
「部長、それ、田村さんの影響ですよね?」
その話を聞いて、
紬は笑いが止まらなくなった。
年をとっても若い人には負けないぞ精神が
強いことに感心した。
「あ、ああ。
確かにガチャガチャで引いたもの
だけどな。」
また笑いこらえる。
「頼むから普通に笑って。
そんな震えて笑う必要ないから。」
拓海と紬は、しばらく談笑して
忘年会の会場であった
居酒屋を後にした。
会社のみんなは
2時間で帰って行ったが
2人はラストオーダーになるまで
お酒を飲み交わしていた。
タクシーで移動して
マンションの拓海の家に着くと
タガが外れたように
2人は
荷物や着ている服はそっちのけで
磁石のように
ディープなキスをした。
果実系のチューハイの香りが
残っている。
ベッドの方へ誘導して
彼女の肌をひとつひとつ
丁寧に愛撫する。
同じ間違いはしない。
心も体も満たせる男で
いないといけないなと
強く感じた。
骨の髄までとろけるように
愛し合った。
差し込んだ。
眩しくて
腕で目を塞いだ。
華奢な体つきの紬の
体は白かった。
左隣から
目が覚めた紬を見て、
彼はぎゅっとハグをした。
素肌と素肌がくっついて
温かかった。
季節は冬。
遭難した時は人間裸同士で
密着する方がいいとかある。
特に遭難してるわけじゃなく、
普通に暖房がついてる部屋の中である。
それでも
人恋しくて密着したくなるのだろう。
どうして
こういう状況になったか。
入社してちょうど9ヶ月は経った。
会社の忘年会に参加することになり、
今までお酒を飲み交わしたことの
なかった紬は飲みすぎて
記憶が飛び、
自分が自分ではないくらいに
はっちゃけてしまった。
決まって、
最後まで酔っ払いの相手をするのは
優しさゆえの拓海だった。
会社の愚痴から始まって、
一人暮らしをしたくてもできないとぼやき、
目がとろんとし始まった時に
告白してしまう大胆な発言も
繰り広げていた。
意識が一瞬戻って、
何か変なこと言ってると
慌てて
「すいません、酔っ払って
変なこと言いました。
今の忘れてください!」
「…その話、忘られないんだけど。
言うなら俺から言えば良かったな。
言わせちゃったよ。」
「え、それってどう言う意味ですか?」
「俺も気になってたから君のこと。
入社して来た時から
知り合いの娘って知ってたんだけど
手出しちゃダメだって思っても
気持ちは変えられないもんなんだよな。
いい年して、みっともない。」
「みっともなくなんて、ないです。
気持ちに素直に生きるの
大事じゃないですか!」
「だって、俺でいいの?
お母さんと同い年だよ?
おじさんだよ?」
「私、年齢で決めないです。
と言っても、初めてなんですけどね
男性とお付き合いするの。
何か運命的な感じするんです。
ビビッと来たって言うか…。」
「ビビッとねぇ…。
もしかして、
初めて会った時からってこと?」
「え?
初めて…?」
「覚えてないかもしれないけど、
君のお母さんと一緒にデートしてた時に
何故か君も一緒にいてさ、
ゲーセンで遊んだんだよ。
それで俺がふわふわの大きいぬいぐるみ
取ってあげたんだよ。」
「えー、あー、あの時の
お兄ちゃん?!
ゲーセンで大きいぬいぐるみ
取ってもらうのって
あの時くらいで何回行っても
取れなかったんだよ。
今でも大事にしてます。
クマのぬいぐるみ。
その時と比べたら、
おじさん化しましたねぇ。」
「お、おじさん。
そりゃあね、長く生きてますから。」
「私はおじさんでも
いいですよ。
小さい時に
拓海さん、カッコイイって
思ってましたから。
まさか、会えるなんて
思ってなかったです。」
グラスに入った氷が楽器のように
響いた。
拓海は心を射抜かれた。
満面の笑みでこちらを見ている。
大人になった紬と
子どもの時の紬を頭の中で
思い出す。
あの瞬間に
あの関係で会わなければ
今の自分の気持ちには
ならなかったのかもしれない。
紬は腕時計を見た。
現実に一気に戻された。
「あ、終電、行っちゃった。」
「…いいよ。
ウチ来ればいいじゃん。
コタツあるよ。あと、みかんあるよ。
ペットはいないけど、
猫のフィギュアなら飾ってるよ。」
「部長、それ、田村さんの影響ですよね?」
その話を聞いて、
紬は笑いが止まらなくなった。
年をとっても若い人には負けないぞ精神が
強いことに感心した。
「あ、ああ。
確かにガチャガチャで引いたもの
だけどな。」
また笑いこらえる。
「頼むから普通に笑って。
そんな震えて笑う必要ないから。」
拓海と紬は、しばらく談笑して
忘年会の会場であった
居酒屋を後にした。
会社のみんなは
2時間で帰って行ったが
2人はラストオーダーになるまで
お酒を飲み交わしていた。
タクシーで移動して
マンションの拓海の家に着くと
タガが外れたように
2人は
荷物や着ている服はそっちのけで
磁石のように
ディープなキスをした。
果実系のチューハイの香りが
残っている。
ベッドの方へ誘導して
彼女の肌をひとつひとつ
丁寧に愛撫する。
同じ間違いはしない。
心も体も満たせる男で
いないといけないなと
強く感じた。
骨の髄までとろけるように
愛し合った。