振り返って、接吻
第3話
俺はぐずぐずに泣いているいつも以上に不細工な幼馴染をたっぷり数分間見下ろしていた。鼻水も出てるよ、汚いな。
そして、そんな最悪な状態の宇田の前に屈みこんで。
「生徒会室いこう、乗って」
「、え?」
「いいから乗れば?」
こちらも珍しいことをしてしまったせいで、瞬きもせずに固まった宇田を無理やり背中に乗らせて、いわゆる〝おんぶ〟の体勢になった。
「ごめんね、重い?」
「うん」
「いや、そこは気を遣うのが男でしょうよ」
間髪入れずに打った返事とは裏腹に、宇田は想像よりもずっと軽かった。俺が守ってあげなきゃ、みたいな要らない庇護欲が生まれたりする。
俺は、宇田を背負ったまま屋上をあとにした。さっき全力疾走した運動不足な身体だけど、俺の活力は宇田だからすっかりHPは回復したみたいだ。不思議。